1990 Fiscal Year Annual Research Report
mRNAによりツメガエル卵母細胞に誘導される味覚受容体の解析
Project/Area Number |
02454428
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸井 隆之 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (40076047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 大 宝酒造(株), バイオ研究所, 次長 (90041318)
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Keywords | 味覚受容体 / mRNA / ツメガエル卵母細胞 / 電気生理学 / アミノ酸 |
Research Abstract |
コイの味覚上皮(髭、口唇部)からグアニヂウム塩法により抽出しオリゴdTセルロ-スで精製したpoly(A)^+mRNAをXenopusの卵母細胞に注入して2〜3日間以上20℃で培養した後、ガラス微小電極を刺入して味刺激を与えて細胞に起る電位(または電流)変化を記録観察することにより味覚受容体の卵母細胞膜上の発現を検討した。現在までにmRNAを注入した卵母細胞18例中の2例において1mMのLーAla溶液のbath applicationによっておよそ100nAの外向きの電流変化が記録された。けれども1mMのLーCysHにより相当に大きな応答が記録されるがこれはコントロ-ルの水を入れた細胞でも記録され、無傷の細胞では見られないことから恐らく注入用微小ガラス管を刺入したことによる損傷により引起こされたものと推測される。それゆえ条件が整えば味覚受容タンパク質を発現せしめることは十分に可能だと思われる結果が得られたものと考え、さらに注意深い緻密な実験を遂行している。一方、電気生理学的に味覚受容体の発現が確信された時点で、生化学的にpoly(A)^+mRNAの分画をして得られた各分画を卵母細胞に注入して、どの分画が味覚受容体の発現に関わっているのかスクリ-ニングしてゆく計画である。また得られたmRNA分画からcDNAのライブラリ-を作製しその後の研究計画の一助とする予定でいる。 現在、上記した実験計画のみならず、従来行なってきているintactのコイにおける神経応答による味覚受容メカニズムの解析も並行して進行させている。味刺激として有効なアミノ酸の誘導体(ペプチドを含む)や類似物(カルボン酸など)の刺激効果の大きさの検討と、これらの種々の化合物間の交差順応実験結果から、簡単に構造一活性相関を論じることは間違いで、味覚受容機構は相当に複雑であることが判明してきている。
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[Publications] Marui,T.,Ohta,H.and Kasahara,Y.: "Gustatory responses to carboxylicacid in the carp." Journal of Comparative Physiology (A).
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[Publications] Marui,T.,Ohta,H.,Kumamoto,N.and Kasahara,Y.: "Gustatory specificity for sodium glutamate and its derivatives of the carp." Comparative Biochemistry and Physiology.
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[Publications] Marui,T.and Caprio,J.: "Mechanisms of GustationーIn:Fish chemoreception [Ed.T.J.Hara]" Chapman and Hall Ltd.,