1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454431
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
外崎 肇一 朝日大学, 歯学部, 講師 (30103485)
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Keywords | 味細胞 / 細胞内記録 / ラジオイムノアッセイ法 / 細胞内薬物注入 / 細胞内二次伝達物質 / ^<125>IーcーGMP / ^<125>IーcーAMP / ^3HーIP_3 |
Research Abstract |
味細胞は各種味刺激に対して様々な応答を発生するが、確実な細胞内記録では蔗糖刺激に対して脱分極性電位変化を発生し、その際膜低抗は増大する。このことは細胞内薬物注入によりcーGMPが細胞内二次伝達物質として働き、TEA注入によって膜のK^+イオン透過性が減少することから、蔗糖が味細胞受容膜に吸着することにより細胞内二次伝達物質としてのcーGMP濃度が増加して膜のK^+イオンの透過性を減少させると推定された。さらにIP_3。細胞内に注入すると蔗糖応答、苦味応答とよく似た電位変化が記録できるが、これは多分苦味応答と関連していると電気生理学的には強く推定される。実際に味細胞内でIP_3濃度が苦味刺激によって増加するかどうかは不明である。同様にcーGMP濃度も実際に蔗糖刺激で増加するかどうかは不明である。それらの濃度が本当に増加するかどうかを知る必要がある。そこで、ラジオイムノアッセイ法を用いて、マウス舌を蒸留水、蔗糖液、食塩液、キニ-ネ液、塩酸液刺激を行い、その際のcーAMP,cーGMP,IP_3の濃度を測定してみた。舌は各溶液で刺激しながら血管潅流によりグルタ-ル固定し、舌を切りだし、ホモゲナイズして各舌中に含まれる ^<125>IーcーAMP, ^<125>IーcーGMP, ^3HーIP_3を測定してみた。その結果、cーGMPは蔗糖刺激によって蒸留水刺激の約2倍に増加するが、他の味刺激ではほとんど変化しないことが解った。cーAMPは蔗糖刺激でわずかに増加するが他の味刺激とほとんど変らないことが解った。IP_3は特にキニ-ネ(苦み)刺激で蒸留水刺激の約2.5倍に、また食塩刺激では約0.8倍、蔗糖刺激では約0.6倍、塩酸刺激では約2倍というような変化をすることが解った。従って蔗糖応答発生にはcーGMPがまた苦味応答発生にはIP_3が関与しているらしいことが強く推定されるが、これらの測定結果には舌の筋組織等に含まれる分も多量に存在しているので、今後は単一乳頭もしくは味蕾を用いてさらに細かい測定をする必要がある。
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[Publications] Tonosaki,K.: "Taste transduction mechanisms." Neuroscience Research. Sup.12. s63-s72 (1990)
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[Publications] Tonosaki,K.: "Analysis of amiloride effect on mouse taste cell." JASTS. 24. 107-110 (1990)
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[Publications] 外崎 肇一: "味細胞よ応答せよ!味覚受容のメカニズムを追って" ミクロスコピア. 7. 2-8 (1990)
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[Publications] 外崎 肇一: "味覚のトランスダクションメカニズム" 岐阜歯科大学20周年誌. sup.1. 472-482 (1990)