1991 Fiscal Year Annual Research Report
内毒素による組織破壊における免疫系の関与についての免疫組織学的研究
Project/Area Number |
02454440
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
加藤 伊八 長崎大学, 歯学部, 教授 (30005087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市丸 英二 長崎大学, 歯学部, 助手 (60223111)
原 宜興 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60159100)
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Keywords | 内毒素 / 病理組織学的研究 / ヌ-ドマウス / 骨吸収 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
歯周疾患の発症と進行に、歯周ポケット内のプラ-ク細菌とくにその内毒素が重要な関連を有することを示す報告はすでに数多くなされている。内毒素には種々の生物学的活性が存在し、なかでもその免疫学的活性により免疫系細胞が歯周組織の破壊を起こすのではないかと推測されている。しかし実際に免疫系細胞のうちどの細胞がどのように関わっているのかについての報告はみられない。そこで今年度われわれはE.coli内毒素をマウスの歯周組織に頻回注入し、その時におこる組織破壊と免疫系細胞との関連を実験的に明らかにしようと考えた。 まずBALB/c(+/+)マウスに内毒素を腹腔投与し、4週後から1日おきに下顎歯肉に内毒素を注入した(免疫群)。一方PBSを腹腔投与した後に同一の処置を行ったものを非免疫群とし、さらにBALB/c(nu/nu)に非免疫群と同一の処置を行ったものをヌ-ド群とした。そして血清抗体価を測定しつつ、1、4、7、10、13回歯肉に投与後屠殺し、下顎を摘出、通法にしたがって光学顕微鏡標本を作製して検鏡した。その結果免疫群および非免疫群のいずれも、内毒素を4回歯肉に注入すると好中球を主体とする広い炎症性細胞浸潤が観察された。さらに7回注入すると破骨細胞の形成をともなう骨吸収像がみられ、注入回数を増やすほどその反応は強くなっていた。一方、ヌ-ド群では13回注入しても炎症性細胞の浸潤範囲は狭く、骨吸収はまったく起こっていなかった。 以上の結果から、Tリンパ球の存在が破骨細胞性の骨吸収へ大きな関連を有することが明らかとなったので、以後はTリンパ球と骨吸収との関連をより詳細に検討したいと考えている。
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[Publications] 井村 憲二 ほか: "内毒素によるマウスの歯周組織破壊と免疫反応に関する実験的研究 第1報" 日本歯周病学会会誌. 33 秋季特別号. 76 (1991)
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[Publications] Kenji IMURA et al.: "AN EXPERIMENTAL STUDY OF IMMUNE CELLS.ON OSTEOCLAST FORMATION AND PERIODONTAL INFLAMMATION INDUCED BY ENDOTOXIN" The 9th International Conference on Periodontal Research. (1992)