1991 Fiscal Year Annual Research Report
顎嚢胞の発症因子と抑制機序に関する臨床生化学的研究
Project/Area Number |
02454453
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鈴木 貢 弘前大学, 医学部, 教授 (90003368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 恒 弘前大学, 医学部, 助手 (50234860)
白戸 真実 弘前大学, 医学部, 助手 (50206306)
小松 賢一 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30162043)
田中 純一 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90197434)
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Keywords | 顎嚢胞 / 増大抑制機序 / 嚢胞腔洗浄法 / Free Radical / 過酸化脂質 / 嚢胞壁微小循環 / 嚢胞壁生成PG / 骨再生 |
Research Abstract |
顎嚢胞は内容液の好中球が多く、好中球の生成したO_2^-、・OHが殺菌して嚢胞の恒常性を保ち、慢性に経過するが、嚢胞腔が感染すると嚢胞腔に好中球の走化が亢進して過剰にO_2^-、・OHを生成し、脂質を過酸化して生成した過酸化脂質(LPO)が、嚢胞壁の微小循環を阻害して結合組織中の血管内皮細胞の機能が障害されて骨吸収因子を放出して嚢胞が増大するものと推定した。そこで、本報では各種顎嚢胞33例について、嚢胞の存在する部位とその対照部位の歯槽粘膜上での血流量をレ-ザ-・ドップラ-血流計(平成3年度本研究費で購入)により、測定したのち、嚢胞腔の感染した症例について感受性(+++)を示す抗生物質含有のソルコセリル^<【○!R】>あるいは20%glucose溶液により、嚢胞腔の洗浄を行った。嚢胞腔の感染を消去し,さらに嚢胞腔の洗浄を継続すると、内容液の好中球が減少するにしたがってpO_2値が高値となり、内容液の上清、沈渣共にPCーOOH値とLOO・強度が低下を示し、5ーHETE、LTC_4、LTB_4値も低下し、歯槽粘膜の血流量が嚢胞の存在のない部位の示す値に近ずき嚢胞壁の微小循環が改善し、嚢胞腔が縮小してきた。嚢胞腔の洗浄後に摘出した嚢胞壁は、感染した未洗浄症例の嚢胞壁に比べ、PCーOOH値、LOO・が低下を示し、TXB_4/6ーketoーPGF_1a値が上昇し、PGE_2/FGF_2値の低下が認められ、嚢胞周囲が再生したことから嚢胞腔の洗浄はソルコリル^<【○!R】>がO_2^-を消去し、20% glucoseが・OHを消去し、嚢胞腔に過剰に生成したO_2^-、・OH等を制御して嚢胞壁の骨吸収因子の生成を抑制すると嚢胞が縮小することを示した。したがって、顎嚢胞は嚢胞腔のFree Radicalの生成に関連して生成したLPOが嚢胞の増大あるいは抑制に関与していることを示唆した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鈴木 貢: "顎嚢胞の発症因子と抑制機序に関する臨床生化学的研究(I)ー特に、内容液と嚢胞壁に生成する過酸化脂質とフリ-ラジカルの消長からみた増大因子の検討ー" 炎症. 12(1). 43-48 (1992)
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[Publications] 鈴木 貢: "嚢胞性疾患とFree Radicalー顎嚢胞内容液のFree Redical生成とその抑制についてー" 活性酸素・フリ-ラジカル. 12. (1992)
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[Publications] 鈴木 貢: "顎嚢胞の症例" 治療学. 26(5). (1992)