1991 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における腫瘍マ-カ-GSTーπの発現と薬剤耐性機序に関する検討
Project/Area Number |
02454461
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Research Institution | Sapporo Medical College GRANT-IN-AID FOR SCIENTIFIC RESEARCH (B) |
Principal Investigator |
小田島 哲世 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00177239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 敏一 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30230634)
平田 章二 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50218781)
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Keywords | 口腔癌 / 腫瘍マ-カ- / GSTーπ / 抗癌剤薬剤耐性 / 培養癌細胞株 / シスプラチン / Pー糖蛋白 / 癌遺伝子 |
Research Abstract |
1.口腔癌における臨床病理学的悪性度と、血奬GSTーπ値、GSTーπ免疫活性の強度との関係を検索した。GSTーπ免疫活性は生検組織におけるヒト抗GSTーπ抗体を用いた免疫組織化学的活性の強度から、悪性度は腫瘍の大きさ、臨床病期、腫瘍の浸潤増殖パタ-ンなどの各因子を段階的に点数化して判定した。GSTーπ免疫活性の強度は血奬GSTーπ値、臨床病期、腫瘍の浸潤と増殖パタ-ンとは相関しなかった。しかし臨床病理学的悪性度が増すにつれ、血奬GSTーπの陽性率ならびに測定値の平均値、GSTーπ免疫活性の染色強度が有意に上昇し、GSTーπが口腔癌の悪性度の指標となりうることが示唆された。 2.化学療法施行された口腔癌12例中、GSTーπ免疫活性陽性例は化学療法前7例、化学療法後10例で、うち8例(66.6%)はGSTーπ免疫活性が著しく増強し、また、その6例(75%)は化学療法効果不良で、GSTーπ免疫活性は抗癌剤によって何らかの影響を受けることが示唆された。一方、多剤耐性遺伝子(mdr1)産物Pー糖蛋白の発現は免疫組織化学的に口腔癌15例中2例(13.3%)に、さらに化学療法後、新たに2例に認められた。現在、さらに口腔癌化学療法と多剤耐性遺伝子の発現について蛋白ならびにmRNAレベルで検討している。 3.当科で維持されている口腔偏平上皮癌細胞株を用いて、口腔癌化学療法剤の中でも投薬頻度の高いシスプラチンに対する耐性細胞株の樹立を進めている。耐性度は軟寒天tumor clonogenic assay法によりシスプラチンの培養細胞に対する増殖抑制活性(IC50値)より算定し、現在、検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小田島 哲世,他: "口腔粘膜の腫瘍様および腫瘍性病変におけるGlutathioneーSーtransferase(GSTーπ)の発現" 腫瘍マ-カ-研究会誌. 6. 80-81 (1990)
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[Publications] Hirata,S.and et al.: "Plasma glutathioneーSーtransferase(GST)ーπ concentration in patients with oral cancer" J.Cancer Res.Clin.Oncol.116. 286 (1990)
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[Publications] Yokoi,T.and et al.: "Establishment and characterization of two new cell lines derived from oral squamous cell carcinomas" Tissue Culture in Dentistry. 27. 5-7 (1990)
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[Publications] Hirata,S.and et al.: "Clinical evaluation of glutathioneーSーtransferase(GSTーπ)as a tumor marker in patients with oral cancer" Cancer. 69. (1992)
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[Publications] 小田島 哲世,他: "口腔癌におけるGSTーπの発現と悪性度" 腫瘍マ-カ-研究会誌. 11. (1992)
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[Publications] 平田 章二,他: "口腔癌におけるglutathioneーSーtransferase(GST)ーπ 産生に関する免疫組織学的ならびに細胞培養学的研究" 腫瘍マ-カ-研究会誌. 11. (1992)