1990 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経系における神経伝達機構の形態学的研究ー各種ペプチドおよびアミノ酸の役割ー
Project/Area Number |
02454464
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
上田 裕 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (10067001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 裕康 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (40140206)
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Keywords | 三叉神経系 / 神経伝達物質 / グルタメ-ト / 疼瘍刺激 / in situ ハイブリダイゼ-ション / エンケファリン / ダイノルフィン / ガラニン |
Research Abstract |
本年度はグルタメ-トと各種ペプチドについて検討した。まずグルタメ-トの生成酵素であるグルタミネ-スに対する特異的なモノクロ-ナル抗体を用いて、三叉神経系におけるグルタメ-ト産生ニュ-ロンの分布を明らかにした。グルタメ-ト産生ニュ-ロンは主知覚核・脊髄路核吻側亜核に広汎に分布し、脊髄路核尾側亜核では辺縁層に認められ、視床や小脳に逆行性トレ-サ-Fluoro Goldを注入するとこれらの細胞が標識された。また、尾側亜辺縁層の細胞は専ら視床に投射することがわかった。以上より、三叉神経を介する知覚伝達系において、その二次ニュ-ロンの多くはグルタメ-ト作動性であると思われる。 一方、脊髄路核尾側亜核の辺縁層と膠様層には、各種ペプチドを含むニュ-ロンが多数分布し、痛覚の抑制に働いていると考えられている。今回我々は、痛覚刺激を与えた時にこれらのペプチドの産生がどのように変化するかということをin situハイブリダイゼ-ション法を用いて検討した。眼角部・上口唇・下顎などに、5%フォルマリン0.05mlを皮下注したところ、注射部位に対応する尾側亜核の表層部の細胞においてエンケファリン前駆体、ダイノルフィン前駆体、ガラニン前駆体のmRNAの増加が観察された。注射後6時間でピ-クに達した。しかし、CCK、ソマトスタチン、タキキニン前駆体のmRNAは全く変化を示さなかった。 一方、熱刺激(52℃の湯に耳を20秒間浸漬)では、いずれのペプチド前駆体のmRNAも増加を示さなかった。今後、痛み刺激の種類・強さなどの条件を変えて同様の検討を行い、痛覚伝達におけるそれぞれのペプチドの働きの違いを明らかにしていきたい。
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