1990 Fiscal Year Annual Research Report
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02454481
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中西 守 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (90090472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 順三 福山大学, 工学部, 助教授 (70080215)
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Keywords | 蛍光画像処理法 / カルシウムシグナル / 抗原レセプタ- / 脱感作 / プロテインキナ-ゼC / 共焦点レ-ザ顕微鏡 / B細胞 / 好塩基球 |
Research Abstract |
蛍光画像処理法により、免疫細胞のカルシウムシグナルの解析から、免疫応答機構を追究した。蛍光画像処理法は個々の細胞のカルシウムシグナルの測定と細胞内カルシウムイオンの空間分布を測定できる。そこで、まず、B細胞(BAL17細胞株)の単一細胞レベルでの脱感作の研究を行った。BAL17の細胞膜には2種類の抗原レセプタ-(IgM,IgD)が存在する。特異抗原でそれぞれのレセプタ-に刺激を与えると,細胞内カルシウムイオンの濃度上昇が起こる。しかし、一方のレセプタ-を刺激後、もう一方のレセプタ-を刺激しても、脱感作が起こっており、カルシウムシグナルは観察されなかった。その原因として、プロテインキナ-ゼCの負のフィ-ドバック作用が考えられた。そこで、プロテインキナ-ゼCを細胞膜から取り除き、同様の実験を行った。その結果、脱感作が解除され、2度の刺激に応答するB細胞が存在することを明らかにした。このように、画像処理法により、1個の細胞を用いて脱感作の現象を解析できることを初めて明らかにした。また、画像処理法の特色を利用し、ヘルパ-T細胞と抗原提示細胞の相互作用や、キラ-T細胞と標的細胞の相互作用の追究も併せて行った。 一方、1個の細胞内の反応を詳細に解析しようとすると、通常の蛍光顕微鏡の画像処理法では問題があることも分かってきた。それは、通常の蛍光顕微鏡は焦点深度が甘いので、細胞内の局所部位での反応を正確に測定することができない。そこで、共焦点レ-ザ顕微鏡による細胞内カルシウムシグナルの追究を試みた。その結果、刺激応答に伴う免疫細胞内(T細胞、B細胞、好塩基球)のカルシウムイオン動態の空間分布を明らかにすることに成功した。そして、刺激の際のカルシウムシグナルが細胞質だけでなく核まで伝達されていることを好塩基球やB細胞で明らかにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T.Mizuochi,J.Mizuguchi,T.Uchida,K.Ohnishi,M.Nakanishi: "A Selective Signaling Defect in Helper T Cells Induced by Antigenーpresenting Cells from Mice with Murine Acguired Immunodeficiency Syndrome" J.Immunol.144. 313-316 (1990)
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[Publications] K.Kimura,Y.Arata,T.Yasuda,K.Kinosita,M.Nakanishi: "Location of Membraneーbound Hapten with Different Length Spacers" Immunology. 69. 323-328 (1990)
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[Publications] T.Igarashi;M.Nakanishi;Y.Arata: "Structure of a Mouse Immunoglobulin G that Lacks the Entire C_H1 Domain" Biochemistry. 29. 5729-5733 (1990)
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[Publications] C.Odaka;N.Utsunomiya;M.Nakanishi: "Analysis of the Molecular Requirements for T Cell Recognition and Activation by Using Iaーcontaining Lipid Vesicles and Stoppedーflow Fluorometry" International Immunol.2. 509-514 (1990)
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[Publications] R.Teshima,H.Ikebuchi,T.Terao,Y.Arata,M.Nakanishi: "A Single Cell Observation of Staurosporine Effect on the Ca^<2+> Signals in Rat Basophilic Leukemia Cells" FEBS Lett.270. 115-118 (1990)
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[Publications] 中西 守: "蛍光画像処理法の進歩" 細胞工学. 9. 1079-1083 (1990)
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[Publications] 池上 明,中西 守 他: "生命科学の基礎6、生体膜の分子素子・分子機械" 学会出版センタ-, 341 (1990)
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[Publications] 松永 是,中西 守 他: "生命情報工学" 裳華房, 229 (1990)