1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454488
|
Research Institution | Tokyo College of Pharmacy |
Principal Investigator |
渡部 烈 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00057316)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 健一郎 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (10185564)
奥田 晴宏 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (30160807)
|
Keywords | ラット肝 / ミクロソーム / 過酸化脂質 / 生体膜防御機構 / グルタチオンペルオキシダーゼ活性 / グルタチオンS-トランスフェラーゼ / cDNAクローニング / 脂肪酸ヒドロペルオキシド |
Research Abstract |
本年度においては、ラット肝ミクロソーム酵素Ms-GSH-Pxによるミクロソーム膜中で誘導された過酸化脂質の消去機構ならびに細胞質中に存在してGSH Px活性を有することが筆者らによって指摘された新種のGST Yrs-Yrsの各種脂肪酸ヒドロペルオキシドに対する基質特異性およびその一次構造を明らかにすることを目的とし、下記に要約列挙する成果を挙げた。 1.MS-GSH Pxのウサギ抗血清を作成し、これによってFe(III)-NADPH産生系共存下誘導されるラット肝ミクロソーム膜の脂質過酸化が著しく抑制されることを見出した。この事実は、Ms-GSH Pxがミクロソーム膜中で膜脂質過酸化防御因子として働いていることを直接的に示すものである。 2.ラット肝細胞質より単離精製したGST Yrs-Yrsは、リノール酸3-ヒドロペルオキシド、リノレン酸13-ヒドロペルオキシド、およびアラキドン酸15-ヒドロペルオキシドおよびこれらのメチルエステルをいずれも良好な基質とし、ラット肝細胞質中の既知GST中従来最大のGSH Px活性をもつとされてきたGST 1-1の約5倍のGSH Px活性を示すことが明らかとなり、生体膜防御機構の新しい膜外バックアップシステムの存在を示すことができた。 3.新種酵素GST Yrs-YrsのサブユニットYrsはラット肝cDNAライブラリーの分子クローニングの結果、開始Metを含め、244アミノ酸残基より成り立つタンパク質であり、全鎖長の52%に相当する部分アミノ酸配列は、サブユニットの限定分解によるペプチドのN-末端アミノ酸配列分析の結果と完全に一致した。既知α,μ,およびπクラスGSTのいずれもが、GST Yrs-Yrsとアミノ酸配列において、きわめて低い(<27%)相同性しか示さなかった。
|