1991 Fiscal Year Annual Research Report
新しい実験技術を用いた平滑筋収縮調節の分子機構の研究
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02454495
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Research Institution | INSTITUTE OF MEDICAL SCIENCE,THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50111505)
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Keywords | 平滑筋収縮調節 / ラッチ収縮 / 天然の細いフィラメント / カルデスモン / アクチン / ミオシン / 急速凍結フリ-ズレプリカ法 / ネガティブ染色 |
Research Abstract |
平滑筋の細いフィラメントはその構成成分のひとつとして線維状蛋白質カルデスモン(CaD)を含む点で特徴的であり、これがラッチ状態(ミオシン軽鎖の低レベル燐酸化状態における収縮)を引き起こす可能性が議論されている。著者はこれまでにその分子のCー末端部位がFーアクチン(FA)及びトロポミオシン(TM)にまたNー末端部位がミオシン・サブフラグメントー2(S2)に特異的に結合すること、そして低イオン強度中ではCaDは半分の長さに折れたたまることなどを報告している。昨年度は再構成した細いフィラメント(FA、TM、CaD、場合により2個のシステイン残基にビオチンを導入したCaDを含む)を用いてCaDとFAおよび重メロミオシン(HMM)との結合様式を電子顕微鏡的に探ることを試みた結果、CaDがそのCー末端付近でFAーTMと周期的に結合し、Nー末端部分はFAから離れて突出しHMMのS2部分と結合していると解釈される像が得られた。今年度は平滑筋組織から直接単離した天然の細いフィラメントの構造を調べた。アクチンからのCaDやTMの解離を防ぐために、軽く化学固定し電子顕微鏡観察したところ生理的に近いイオン強度ではアクチンの螺旋周期は不明瞭であり表面に何らかの別の分子が結合していることが推定されるものの線維状分子の突出は見られなかった。しかしやや低いイオン強度では長い線維状分子の周期的な突出が認められ基本的構造は再構成フィラメントと同様であることが確認された。脱燐酸化ミオシンの構成するフィラメントは不安定でありATPを加えると溶解してしまうことが知られているが、最近、アクチン結合CaDがこのようなミオシン・フィラメントを安定化させる作用をもつことを見いだした。弛緩した平滑筋細胞内ではミオシンは脱燐酸化しているにもかかわらずフィラメントが安定に存在することが報告されておりin vitroの結果との矛盾点が指摘されているがCaDのこのような性質により問題が解決される可能性が出てきた。
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[Publications] E.Katayama: "Conformational change of myosin head induced by nucleotides as studied by quickーfreeze deepーetch electron microscopy." Journal of Muscle Research and Cell Motility. 12. 313 (1991)
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[Publications] E.Katayama: "Configuration of myosin heads during actoーmyosin superprecipitation;an in vitro model of muscle contraction." Journal of Muscle Research and Cell Motility. 13. (1992)
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[Publications] E.Katayama: "Conformation of myosin head attached to actin in the course of superprecipitation."
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[Publications] E.Katayama: "The mode of binding of caldesmon to smooth muscle thin filament in relation to its functional aspect."
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[Publications] E.Prochniewicz: "Cooperative nature of Fーactin and molecular mechanism of sliding movement."
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[Publications] H.Yamashita: "Sliding velocity of isolated rabbit cardiac myosin correlates with isozyme distribution."
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[Publications] E.Katayama: "Mechanisms of myofilament sliding in muscle contraction." H.Sugi & G.Pollack eds.,(Plenum Press), (1992)