1990 Fiscal Year Annual Research Report
施設内痴呆老人のQOL及びADL評価とケアの必要性に関する研究
Project/Area Number |
02454500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
見藤 隆子 東京大学, 医学部・医学科, 教授 (00086266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 美和子 東京大学, 医学部・医学科, 助手 (50217288)
菅田 勝也 東京大学, 医学部・医学科, 助手 (20143422)
南沢 汎美 東京大学, 医学部・医学科, 助手 (70010072)
竹尾 恵子 東京大学, 医学部・医学科, 助教授 (00114538)
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Keywords | 痴呆老人 / QOL / ADL / セルフケア / 体重変化 |
Research Abstract |
1.入院中の痴呆老人について,その日常生活行動の状況とケアの必要性のレベルの評価のために,59名を対象としてMOSESスケ-ル(高齢者用多元観察尺度)を用いて,老人の行動観察を行った。その結果セルフケア項目については,これでは評価しきれない内容がかなりあることが判明した。特に失禁・食事・身体的移動能力等については,患者毎の個別性が大きく,ケアの種類・必要度ともに多岐にわたった。例えば失禁については,オムツ交換というケアが必要であるがそのケアレベルは,一人でおとなしく交換させるものから,数人で抑制しながら交換しないと低抗するものまで様々であった。そこでさらに,それぞれのケアの具体的内容をより明らかにするとともに,ケアを行う際の観察項目をより詳細に分類し,患者に関する明確な行動評価方法とケアの種類・レベルの評価法を検討していきたい。それにより,より実践に即した看護ケアの評価も可能になると考える。 2.入院中の痴呆老人の縦断研究の一貫として,72名の体重変化について追跡・調査研究を行った。その結果以下の結果・考察を得た。(1)入院後の体重減少は,アルツハイマ-病(AD)・アルツハイマ-型老年痴呆(SDAT)・多発梗塞性痴呆(MID)において認められ,その他の痴呆(OD)については認められなかった。(2)入院後の食事摂取率はほぼ90%以上であり,このことが体重減少に及ぼしている影響は今後さらに追究していく必要性がある。また血液生化学検査値は漸減傾向を示しており,これは体重減少と同時に低栄養状態に陥る危険性が高いことを示していると考えられた。(3)寝たきり化と体重減少との関連を検討したところ,寝たきり状態に移行する3カ月前にBMIが有意に減少していた。今研究においてはBMIが17以下になる,もしくはBMIが18前後であり,かつ5ー6%の体重減少が認められた場合,寝たきりに移行する危険性が高かった。また寝たきりに移行するきっかけとしては,歩行障害・発熱・骨折・衰弱等があげられた。これらの原因に対しては,リハビリテ-ションによる歩行能力の維持・転倒の予防に努めることで寝たきり移行を最少にし得る可能性が示唆される。
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