1990 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファ-ジのスカベンジャ-受容体の制御による動脈硬化予防
Project/Area Number |
02454507
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
児玉 龍彦 東京大学, 医学部・附属病院・第三内科, 助手 (90170266)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
油谷 浩幸 東京大学, 医学部・附属病院・第三内科, 助手 (10202657)
松橋 信行 東京大学, 医学部・附属病院・第三内科, 助手
金森 博 国立健康栄養研究所, 臨床栄養部, 科学技術特別研究員 (60211851)
|
Keywords | スカベンジャ-受容体 / マクロファ-ジ / 泡沫細胞 / 動脈硬化 / コレステロ-ル / 変性LDL / コラ-ゲン |
Research Abstract |
1.スカベンジャ-受容体の構造解析 スカベンジャ-受容体のC端末欠失ミュ-タント13種を作成し、リガンド結合に関与するのがコラ-ゲン様ドメインのC端側の22アミノ酸の領域であることが分かった。この領域は陽性に荷電したアミノ酸が集まった部分で、スカベンジャ-受容体は、コラ-ゲンに結合する分子で陰性荷電のクラスタ-を有するものであると推定される。更にロイシンジッパ-様のコイルドコイルドメインが3量体形成に必要であることが判明した。 2.スカベンジャ-受容体を介するコレステロ-ル蓄積の検討とLDL変性抑制剤の作用 スカベンジャ-受容体の効率良いエンドサイト-シスはマクロファ-ジ特異的に起こることが牛スカベンジャ-受容体cDNAのヒトマクロファ-ジへの発現実験で証明された。培養cos細胞にスカベンジャ-受容体を発現させるとアセチルLDL及び酸化LDLを取り込み分解するようになる。この取り込み作用は、LDLの変性(酸化)抑制剤であるプロブコ-ルで抑制されることが証明された。牛受容体cDNAを発現した3系統のスカベンジャ-受容体過剰発現マウスが樹立された。現在病理学的検討を進めている。 3.スカベンジャ-受容体遺伝子の解析 ヒトスカベンジャ-受容体は、染色体8番にあり、現在まで約100Kbの部分のクロ-ニングが終了し、I型及びII型のエキソン構造(11個)の解析及びヒト、マウスのプロモ-タ-領域の解析が進められている。スカベンジャ-受容体の発現はほぼ完全にマクロファ-ジ特異的であることが分かった。
|
-
[Publications] A.Matsumoto et.al: "Human macrophage scavenger receptors:Primary structure,expression,and localization in atherosclerotic lesions" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 87. 9133-9137 (1990)
-
[Publications] M.Naito et al.: "Tissue distribution,Intracellular localization,and in vitro expression of bovine scavenger receptor" Amr.J.Pathology.
-
[Publications] T.Doi et al.: "CーTerminal collagenーlike domain mediatcs the ligand binding of macrophage scavenger receptors" Nature.
-
[Publications] 児玉 龍彦他: "スカベンジャ-受容体:マクロファ-ジの異物,老癈物処理を担うエンドサイト-シス型膜糖蛋白" 生化学. 63. (1991)
-
[Publications] 土井 健史他: "動脈硬化とマクロファ-ジスカベンジャ-レセプタ-" ファルマシア. 26. 1137-1142 (1990)
-
[Publications] 土井 健史他: "マクロファ-ジ上のスカベンジャ-受容体" 蛋白質 核酸 酵素. 35. 1505-1516 (1990)