1990 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型を利用したマウス疾患遺伝子の染色体マッピング
Project/Area Number |
02454526
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
渡辺 智正 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 研究所・生化学部, 室長 (10100174)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 茂夫 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 研究所・生化学部, 研究員 (10157175)
|
Keywords | マウス / DNA多型 / RFLP / 染色体マッピング / バッククロス群 / スフィンゴミエリネ-ス / ニ-マンピック病 / リンケ-ジ |
Research Abstract |
三点法による染色体マッピングは、番地まで決定できることと、種々の遺伝子(毛色・形態・免疫・タンパク・DNA)を同一のレベルで扱うことができるという利点がある。とくに最近、遺伝子工学技術の進展にともないDNAプロ-ブが数多く作成されるようになり、各種制限酵素との組合わせでほとんど例外なくDNA多型が観察されうる。今年度は、遺伝子マッピングの遅れている第18染色体についてDNA多型を遺伝標識に用いることを試み、疾患遺伝子のマッピングに応用した。 実験用マウスと野生マウス集団とは遺伝的距離が大きく、両者間で容易にDNA多型が検出される。欧米ではスペイン産由来の野生マウスが用いられているが、私たちは日本産野生マウス由来の系統を用いている。それらのF_1の実験用マウスへのバッククロス群は、染色体マッピングする方法として最も優れた系となっている。これをinterspecific backcrossと呼ぶ。今回は、日本産野生マウス由来の系統MOLーMLTと、疾患マウスとしてスフィンゴミエリネ-ス欠損ニ-マンピック病モデルマウスC57BL/KsJーspmを用いた。最初に、57番地にあるシバラ-の原因遺伝子Mbp(ミエリン塩基性タンパク)を起点とするために、そのDNA多型を検出した。制限酵素SacIを用した時多型が観察された。次にin situ hybridizationで第18染色体にあることが判っているが、その番地までは決定されていないGrlー1遺伝子(グレココルチコイドレセプタ-)の位置をMbp遺伝子とのリンケ-ジ関係から求めた。この遺伝子のDNA多型は、EcoRVで観察された。バッククロス群における組換え個体数からGrlー1遺伝子は13番地にあることを同定した。さらに両遺伝子との組換率からニ-マンピック病モデルマウスの原因遺伝子spmは5番地と決定された。これまで遅れていたマウス第18染色体の遺伝子マッピングは今後急速に進むものと予想される。
|
-
[Publications] Watanabe,T.,Shimizu,A.,Ohno,K.,Masaki,S.and Kondo,K.: "Restriction fragment length variations and chromosome mapping of two mouse metallothionein genes,<Mtー1>___ー and <Mtー2>___ー." Biochemical Genetics. 27. 689-697 (1989)
-
[Publications] Watanabe,T.,Ohno,K.,Shimizu,A.,Sakai,Y.,Takahashi,M.and Takahashi,N.: "Mapping of the <Hoxー3.1>___ー and <Mycー1.2>___ー genes on chromosome 15 of the mouse restriction fragment length variations." Biochemical Genetics. 28. 257-266 (1990)
-
[Publications] Masaki,S.and Watanabe,T.: "Linkage analysis of the mutation locus in the eye lens obsolescence (<Elo>___ー) mouse." Genomics. 5. 259-263 (1990)