1991 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型を利用したマウス疾患遺伝子の染色体マッピング
Project/Area Number |
02454526
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
渡辺 智正 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・生化学部, 室長 (10100174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 茂夫 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・生化学部, 主任研究員 (10157175)
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Keywords | マウス / DNA多型 / RFLP / 染色体マッピング / バッククロス群 / MRLマウス / 自己免疫疾患遺伝子 / リンケ-ジ |
Research Abstract |
三点法による染色体マッピングは、番地まで決定できることと、種々の遺伝子(毛色、形態、免疫、タンパク、DNA)を同一のレベルで扱うことができるという利点がある。とくに最近、遺伝子工学技術の進展にともないDNAプロ-ブが数多く作成されるようになり、各種制限酵素との組合わせでほとんど例外なくDNA多型が観察されうる。今年度は、マウス染色体の中で最も小さな第19染色体についてDNA多型を遺伝標識に用いることを試み、疾患遺伝子のマッピングに応用した。 実験用マウスと野生マウス集団とは遺伝子的距離が大きく、両者間で容易にDNA多型が検出される。欧米ではスペイン産由来の野生マウスが用いられているが、私たちは日本産野生マウス由来の系統を用いている。それらのF_1の実験用マウスへのバッククロス群は、染色体マッピングする方法として最も優れた系となっている。これをinterspecific backーcrossと呼ぶ。今回は日本産野生マウス由来の系統MOLーMLTと、疾患マウスとして異常リンパ球の増殖、血管炎、糸球体腎炎を自然発症する自己免疫疾患遺伝子Lprを持つMRLーMpJマウスを用いた。DNA多型の検出のために用いた遺伝子のプロ-ブは、8番地にあるLyー44(Lymphocyte antigenー44)と29番地にあるTdt(terminal deoxycytidyl transferase)であった。Lyー44はBgLIIで、TdtはBamHIでDNA多型が観察された。バッククロス群における組換え個体数からLpr遺伝子は23番地にあることを同定した。Lpr遺伝子は、世界中で多くの研究がなされたにもかかわらず長い間染色体上の位置が不明であったが、これでマッピングに終止符を打つことができた。さらに今後は巨大DNAのパルスフィ-ルド電気泳動による解析、およびミニサテライトDNAのPCR法による多型解析等のゲノムマッピングを通して、Lpr子がクロ-ニングされる道が開かれたと考えられる。
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[Publications] Sakai,Y.,Miyawaki,S.,Shimizu,A.,Ohno,K.,and Watanabe,T.: "A molecular genetic linkage map of mouse chromosome 18,including spm,Grl-l,Fim-2/c-fms,and Mbp." Biochemical Genetics. 29. 103-113 (1991)
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[Publications] Watanabe,T.,Sakai,Y.,Miyawaki,S.,Shimizu,A.,Koiwai,O.and Ohno,K.: "A molecular genetic linkage map of mouse chromosome 19,including the lpr,Ly-44,and Tdt genes." Biochemical Genetics. 29. 325-335 (1991)
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[Publications] Masaki,S.,Tamai,K.,Shoji,R.and Watanabe,T.: "Defect of a fiber cell-specific 94-kDa protein in the lens of inherited microphthalmic mutant mouse Elo." Biochem.Biophys.Commun.179. 1175-1180 (1991)