1991 Fiscal Year Annual Research Report
X線溶液散乱法によるドメイン構造を持つ酵素の分子レベルの構造解析と機能理解
Project/Area Number |
02454527
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
植木 龍夫 理化学研究所, 生物物理, 主任研究員 (30029954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪子 洋二 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (00160010)
藤澤 哲郎 理化学研究所, 生物物理, 研究員 (10231565)
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Keywords | X線溶液散乱 / 生体高分子 / 酵素 / 構造解析 |
Research Abstract |
タンパク分子の水溶液中での構造研究は、従来、小角散乱法をつかった分子のおおよその形態の決定といったものである。ドメイン構造をもつタンパク分子の場合、より詳細な構造ーたとえば分子内のドメインやサブユニットの配置などーに関する情報が得られるようになってきた。 この方向は、分子中のドメインもしくはサブユニットがその基質やイオンなどの結合によってどうかわるか、といったように分子の構造と機能との関わりあいを理解するうえで十分有用でかつ重要であると考えられる。 平成2年度に購入した広角領域までのX線溶液散乱を記録するための有力な道具であるー次元検出器を現有のX線発生装置ー収束光学系と組み合わせ散乱記録装置を完成させた。このシステムによって、低い濃度の試料やコントラスト変化法をつかった実験でシグナル/バックグランドの比が良くない対象に対しても精度の良い測定が可能となっている。 このX線散乱測定装置および解析のためのデ-タ処理装置をつかって、 ・オリゴメリックタンパクであるアルドラ-ゼやヘモグロビン、巨大酵素分子であるフォスフォリラ-ゼ・キナ-ゼ ・ドメイン構造を持つ分子としてはras p21蛋白、 などを対象とした散乱実験をおこない、構造解析を現在おこなっている。ストップド・フロ-小角散乱装置をもちいて、基質結合にともなう構造変化の追跡の実験をおこない、機能発現時の構造の研究もおこなわてれている。また、平成4年度の準備研究として、ワ-クステ-ションをもちいて、原子レベルの構造からの分子構造のシミュレ-ションなどをおこなうためにソフトウエアの開発研究もおこなっている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tatzuo UEKI: "Biopolymers and Solution X-Ray Scattering -Is it useful in structural research in biology?-" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. A303. 464-475 (1991)
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[Publications] Hideo INOUE: "Structural Kinetics:Temperature-Jump Synchrotron Small-Angle X-Ray Scattering Study of Tobacco Mosaic Virus Protein as an Example" Bull.Institute for Chemical Research,Kyoto University. 69. 92-100 (1991)
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[Publications] 原見 太幹: "大型放射光施設(SPringー8)の建設計画と利用" 日本原子力学会誌. 33. 310-317 (1991)
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[Publications] 植木 龍夫: "日本化学会編 実験化学講座 10 「回析」" 丸善株式会社, 559 (1992)