1990 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質のモルテン・グロビュ-ル構造とその生理的条件下における役割
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02454536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 理学部, 助教授 (40153770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手島 圭三 大阪大学, 理学部, 助手 (30155452)
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Keywords | モルテン・グロビュ-ル構造 / 蛋白質の高次構造 / 蛋白質の変性 / 蛋白質の構造形成 / 静電相互作用 / チトクロムC / 合成ポリぺプチド / 蛋白質物理化学 |
Research Abstract |
1.酸変性条件下でみられるモルテン・グロビュ-ル構造と生理的条件下での変性状態の関係を明らかにするため、さまざまな程度にアセチル化した修飾チトクロムcを調製して、その構造と安定性を調べた。その結果以下の成果を得た。 (1)アセチル化にともない酸性、低イオン強度での立体構造はランダムコイルからモルテン・グロビュ-ル構造に協同的に転移した。これより、酸性モルテン・グロビュ-ル構造の安定性が静電的な反発力と疎水性相互作用のバランスによって決まることを証明した。 (2)静電的反発力の寄与を中性pHに外挿することにより、モルテン・グロビュ-ル構造が生理的条件下での安定な変性構造であることを示した。 2.酸変性蛋白質で得られた結果に基づき、モルテン・グロビュ-ル構造のモデルとして、主にリジンとロイシンよりなる51残基の両親媒性モデルポリペプチドを合成し、その構造と安定性を調べ以下の成果を得た。 (1)モデルポリペプチドは中性pH、低イオン強度の条件下ではランダムコイルであったが、塩、あるいは酸が存在するとαヘリックス構造に協同的に転移した。各種の塩の効果を詳細に調べた結果、構造転移はポリペプチドの正電荷と陰イオンとの直接的な相互作用によって起きることを示した。 (2)モデルポリペプチドはアルカリpHでもαヘリックス構造を形成した。陰イオンによるヘリックス形成とアルカリpHでのヘリックス形成の関係を調べ、それらが解離基に対するプロトンと陰イオンの結合に基づき統一的に説明できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yuji Goto et al.: "Mechanism of AcidーInduced Folding of proteins." Bichemistry. 29. 3480-3488 (1990)
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[Publications] Yuji Goto & A.L.Fink: "Phase Diagram for Acidic Conformational States of Apomyoglobin." J.Mol.Biol.214. 803-805 (1990)
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[Publications] Yuji Goto & S.Aimoto: "Anionーand pHーdependent Conformational Transition of an Amphiphilic Polypeptide" J.Mol.Biol.