1992 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質のモルテン・グロビュール構造とその生理的条件下における役割
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02454536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 理学部, 助教授 (40153770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手島 圭三 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30155452)
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Keywords | モルテン・グロビュール構造 / 蛋白質の高次構造 / 蛋白質の変性 / 蛋白質の構造形成 / シトクロムc / メリチン / 蛋白質物理化学 / X線溶液散乱 |
Research Abstract |
蛋白質のモルテン・グロビュール状態の安定性とその生理的役割を明らかにするため、前年度に引き続き、いくつかの蛋白質やペプチドを用いてその構造安定化の機構を調べた。その結果、以下の成果を得た。 1.チトクロムcのネイティブ、モルテン・グロビュール、高度な変性状態などの構造をX線溶液散乱により詳細に調べた。その結果、これらの状態の分子の慣性半径、分子形態の違いを明確にした。更に、高度な変性状態からモルテン・グロビュール状態経の平衡構造転移が二状態転移で近似できる反応であることを示した。 2.化学修飾、アミノ酸置換メリチンの化学合成などによりいくつかのメリチン類似体を作製した。これらの構造と安全性を調べ、メリチンにおける静電的反発力の不安定効果を明らかにした。さらに熱による構造転移を調べ、メリチンの安定化の熱力学的機構を明らかにした。 3.メリチンの溶液中での慣性半径をX線溶液散乱により測定した。この結果、メリチンの水溶液中での4量体の慣性半径はチトクロムcのモルテン・グロビュール状態のものに近いことを明らかにした。これらの安定化機構を比較することにより蛋白質の安定性における静電的反発力の普遍的効果を検討した。 4.アセチル化チトクロムcの安定化機構を検討した結果、生理的条件下での変性状態はモルテン・グロビュール状態であることを推定した。 5.従来、最も代表的な変性剤として広く使用されている塩酸グアニジンが、特定の条件下においては蛋白質の立体構造を安定化することを発見した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshimura,T.,Goto,Y.& Aimoto,S.: "Fusion of Phospholipid Vesicles Induced by an Amphiphilic Model Peptide" Biochemistry. 31. 6119-6126 (1992)
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[Publications] Hagihara,Y.,Kataoka,M.,Aimoto,S. & Goto,Y.: "Charge Repulsion in the Conformational Stability of Melittin" Biochemistry. 31. 11908-11914 (1992)
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[Publications] Goto,Y.,Kogure,E.,Takagi,T.,Aimoto,S.& Aoba,T.: "Molecular Conformation of Porcine Amelogenin in Solution:Three Folding Units at the N-Terminal,Central,and C-Terminal Regions" J.Biochem.113. 55-60 (1993)
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[Publications] Kataoka,H.,Hagihara,Y.,Mihara,K. & Goto,Y.: "Molten Globule of Cytochrome c Studied by Small Angle X-Ray Scattering" J.Mol.Biol.229. 591-596 (1993)
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[Publications] Hagihara,Y.,Aimoto,S.,Fink,A.L. & Goto,Y.: "Guanidine-Hydrochloride-Induced Folding of Proteins" J.Mol.Biol.(1993)
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[Publications] 後藤 祐児: "蛋白質の立体構造形成反応 ー モルテン・グロビュール状態の構造と安定性 ー" 生化学. (1993)