1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454538
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
崎山 文夫 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (40029947)
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Keywords | リジルエンドペプチダ-ゼ / 哺乳類型セリンプロテア-ゼ / 基質特異性決定基 / 部位特異的変異 |
Research Abstract |
リジルエンドペプチダ-ゼ(API)の巌密なリゾル結合に対する基質特異性を決定しているアミノ酸残基(基質特異性決定基)は哺乳類型セリンプロテア-ゼとの相同性よりGlu190かAsp225であると推測される。そこでAPIの基質特異性を変換する第一歩として、部位特異的変異によるAPIの基質特異性決定基の同定を行なった。Glu190をAsp、Gln、Leuの3種類のアミノ酸に、Asp225をAsn、Glu、Leuの3種類のアミノ酸にそれぞれ置換した変異体API遺伝子を作製し、発現ベクタ-pkk233ー2に挿入し大腸菌で発現させた。この発現系では25℃、12時間の培養で遺伝子産物がペリプラズムに蓄積した。Glu190の3種類の変異体はすべて活性のある成熟体として大腸菌のペリプラズムに蓄積し、浸透圧ショック法によるペリプラズムタンパク質の調整、DEAEセルロファインによるイオン交換クロマトグラフィ-、オボムコイドセファロ-スによるアフィニティ-クロマトグラフィ-によりSDSーPAGEで単一なバンドにまで精製された。これら3種類の変異体のBocーValーLeuーLysーMCA基質に対する反応動力学定数(Km、Kcat)は野生型APIとほぼ同じ値を示し、その基質特異性もリジル結合に特異的であった。 これに反して、Asp225の3種類の変異体は酵素学的に野生型と大きく異なっていた。Asp225のAsn、Leuへの変異体はともに大腸菌のペリプラズムに成熟体ではなく、プロ体のまま蓄積していた。これはこれら変異体のリジル結合水解活性の著しい低下により、自己消化によるプロ体から成熟体へのプロセシング(LysーGly結合の切断)が起こらなかったためと推測される。またAsp225のGluへの変異体は活性のある成熟体として大腸菌のペリプラズムに得られたが、Glu190変異体と同様の精製法で精製後、その反応動力学定数を求めたところ、Kcat/Km値が野生型の約100分の1に減少していた。以上の結果より、APIの基質特異性決定基はGlu190ではなくAsp225で、Asp225の側鎖の負電荷が特に重要な役割を担っていると考えられる。
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