1991 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾンTn3のコ-ドするトランスポゼ-スの性質と転移の分子機構の解明
Project/Area Number |
02454549
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 栄一 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (10158800)
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Keywords | トランスポゾン / トランスポゼ-ス / 末端逆向き配列 / DNA組換え / DNA転移 |
Research Abstract |
トランスポゾンTn3は、トランスポゼ-スをコ-ドし,自分自身の転移を促す。これまでに、精製したトランスポゼ-スがTn3の両端にある38塩基対からなる末端逆向き配列(IR)内の一部に結合すると同時に、DNA非特異的にも非常に強く結合するという活性を持つことを明らかにしたが、本年度に於て、トランスポゼ-スの構造をトランスポゼ-スのIR塩基配列の認識の機構を更に明らかにするための次の研究を行い、結果を得た。 (1)トランスポゼ-スの特異的、非特異的結合に関与するドメインの特定。平成2年度及び本年度に新たに作製したトランスポゼ-スの各セグメントとLacZとの種々の融合タンパク質が、IRを含むDNA断片と含まないDNA断片に結合するかどうかをフィルタ-・バインディング・アッセイ、及びDNaseIフットプリント法に依って調べた。その結果、トランスポゼ-スのNー末と中央領域を持つ融合タンバク質がそれぞれIR特異的なDNA結合活性と非特異的DNA結合活性を持つことが明らかになった。この結果によってトランスポゼ-スにはDNA結合活性に関する二つのドメインがあることが証明できた。 (2)IR内のTn3のトランスポゼ-スと結合する領域と結合しない領域の機能の解析。片方のIRが野作型で、変異体IRを他方にもっているようなTn3は、野生型IRの存在に依ってある程度転移できるが、両方が同一種の変異を持つ場合は転移能を失う。そこで、それぞれの領域(A、Bと名付ける)に異なる変異を導入し転移能を調べたところ、そのようなTn3の転移能は回復することが明らかになった。この結果からIR内には二つの機能的領域が存在することを証明できた。更に、平成2年度に於て、宿主のタンパク質の中に、ゲル電気泳動法でIR DNAをシフトさせるものがあるという実験結果を得ていたが、このタンパク質を精製したところ、約16Kの大きさであり、恐らくIR内のトランスポゼ-スが結合しない領域に結合する宿主タンパク質であろうと考えられた。
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[Publications] J.Amemura: "Functional analysis of the two clomains in the terminal inverted repeat segueuce for transposition of Tn3" Gene. 103. 11-16 (1991)
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[Publications] E.Ohtsubo: "Deletion mediated by a Tn3 derivative with only one terminal inverted repeat segunece" Nucleic Acids Research.
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[Publications] T.Maekawa: "Domain struactre of Tn3 transposase" Gene.