1992 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを利用した筋原線維形態形成の遺伝的解折
Project/Area Number |
02454550
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
最上 要 東京大学, 理学部, 助手 (80174332)
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Keywords | ショウジョウバエ / 筋突然変異 / 筋原線維 / P因子 / アクチン |
Research Abstract |
本研究の目的はショウジョウバエの間接飛翔筋を材料とし、その筋原線維を構成する主要タンパク質の構造遺伝子に突然変異を生じた個体を多数集め詳しく解析することによって、それらのタンパク質が筋原線維の構築に果たしていた役割を明らかにしようというものである。特に以下の2点に重点をおいて研究を行った。 1.ショウジョウバエのトランスポゾンであるP因子の機能をトランスポゼースと被挿入配列とに分離し、全ゲノム中に1つだけ挿入突然変異が作れるようにした系統を用い、飛翔不能突然変異を単離した。第2染色体連関のものにつき遺伝学的解析を行ったところ、7つのシストロンに分類できることがわかった。 2.間接飛翔筋のみで発現している88Fアクチン遺伝子の変異を多数集め解析することによってアクチン各アミノ酸残基の役割を解明することをめざした。前年度までの研究によって効率の良い突然変異の単離法、PCR直接シーケンシング法を確立したので得られた変異の症状を詳しく調べた。その結果、新たに得られたミスセンス突然変異は以下のように分類できることがわかった。 (1)ストップコドンが前の方にあるようなナンセンス突然変異と同様な症状を示すもの(V103E、E57K)。この場合変異アクチンは正常構造を全く失っていると解釈できる。 (2)正常アクチン遺伝子が1個あるとき前者より改善された症状を示すもの(P307L)。この変異アクチンの構造は正常アクチンと共重合しうる程度のフレキシビリティを保っているものと思われる。 (3)正常アクチン遺伝子が2個あっても症状が改善されないもの(G63D、R95C、G156S、G156D、E226K、G268D、G301D、G302D)。これらは構造の一部に完全におかしくなった部分と全く正常な部分とが共存しているものと考えられる。このように変異タンパク質の構造変化を個体レベルでの解析によって推定できることを示すことができた。
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