1990 Fiscal Year Annual Research Report
血流改善療法と放射線増感剤,DNA修復阻害剤併用に関する基礎的研究
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02454562
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三好 武美 千葉大学, 医学部・放射線医学, 講師 (10114331)
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Keywords | 放射線 / 血流改善 / 低分子デキストラン / ウロキナ-ゼ / アンジオテンシンーII / 放射線増感剤 / マイソニダゾ-ル / Vxー2腫瘍 |
Research Abstract |
腫瘍組織内の低酸素細胞,無酸素細胞に対する放射線効果を増強するための,腫瘍組織の血流改善法も,放射線増感剤も,放射線と個々に併用しても,必ずしも充分な効果をあげ得ないである。血流改善療法は陳旧器質化した血栓領域には効果をあげ得ず,放射線増感剤は進行した大きな腫瘍の変性,壊死部の低酸素,無酸素細胞領域内に充分に浸透させるためには,多量の薬剤の投与が必要であり,その必要量は神経毒性の故に投与し得ないのが現状である。 この両者の欠点を補うために,血流改善療法,放射線増感剤の併用をおこなって,マウス移植エ-ルリッヒ固型腫瘍で検討したところ,血流改善剤ーー低分子デキストランとウロキナ-ゼ混合液を投与して,放射線増感剤ーーマイソニダゾ-ルを投与すると,その必要有効量を約40%減少せしめ得ることを見出した。そこで,ヒト腫瘍に近い大きさの,家免Vxー2腫瘍で検討した。マウスの実験と異って,家免Vxー2では,放射線単独と混合液併用群との間に差は得られなかった。混合液,マイソニダゾ-ル併用群では有意の著明抗腫瘍効果と延命効果と生存率の改善が得られた。 また血流改善療法による薬剤の腫瘍組織への集積増強を,RI標識モノクロ-ナル抗体を用いて検討したところ,上記混合液もアンジオテン-IIも増強効果はほゞ同様であった。血管の透過性を亢進させるTNF(腫瘍壊死物質)もまた同様の集積効果を示した。ところが,アンジオテンシ-IIとTNFを併用したところ,RIの集積増強は約70%も,相加的に著明に改善された。 この結果をもとに,次年度は,血流改善剤とTNFをシステミックにマイソニダゾ-ルと併用するシステムの,放射線効果のより強力な増強効果について検討する。
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[Publications] 竹田 明彦,三好 武美,磯野 可一,他: "Angiotensin IIとTumor necrosis factor(TNF)併用によるモノクロ-ナル抗体の腫瘍集積増強効果" 日本外科学会雑誌. 92. (1991)