1992 Fiscal Year Annual Research Report
血流改善療法と放射線増感剤、DNA修復阻害剤の併用に関する基礎的研究
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02454562
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三好 武美 千葉大学, 医学部, 講師 (10114331)
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Keywords | 放射線 / 血流改善剤 / 低分子デキストラン / ウロキナーゼ / 放射線増感剤 / TNF(腫瘍壞死物質) / Ara-A / Vx-2腫瘍 |
Research Abstract |
前年度までの検討で、線溶機能亢進剤(血流改善剤)とTNF(腫瘍壊死因子)を併用すると、マイソニダゾールの放射線増感効果が増強され、有効投与量も著明に減量し得る(マイソニダゾール200mg/kg)ことを明らかにしてきた。 本年度は、マイソニダゾールの改良型誘導体である、本邦で開発された放射線増感剤RK-28を、マイソニダゾールに代えて検討した。 また抗ウイルス剤であるAra-Aが、DNA合成阻害剤、放射線による損傷DNAの修復を阻害するとの報告に基いて、線溶機能亢進剤、TNF、放射線増感剤の重層併用系に組みこむことを検討した。 家兎後肢に移植され、腫瘍容積が75cm^3前後と大きくなったVx-2腫瘍に対し、放射線照射約1時間前に、低分子デキストラン・ウロキナーゼ混合液、TNF、RK-28を投与して検討した。放射線照射のみの、照群に比して、RK-28単独投与照射群、三者重層併用照射群の順に抗腫瘍効果、腫瘍の発育抑制が著明に認められた。 Ara-Aに関して、放射線に傷害されたDNAの修復阻害とその固定化について、in vivoで検討した。Ara-Aを照射前に投与して、腫瘍の発育を検討したところ、放射線単独に比して、放射線効果が早く出現したが、4週以後は放射線単独と変らない成積を示した。基本的には無効であった。Ara-Aは放射線傷害DNAの修復を阻害するが、その効果は一時的で、結局DNAは修復され、DNA損傷を固定化し得なかったものと考えられた。 放射線増感剤も、TNFも温熱効果の増感剤であることから、このシステムに導入することを、今後の研究計画に導入したいと考えている。そしてまた温熱による熱ショク蛋白とγδ-T細胞免疫との関係が明らかとなりつつあるので、免疫療法も組みこんだ治療法を開発する 定。
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[Publications] 竹田 明彦、三好 武美 他: "線溶機能亢進剤によるモノクローナル抗体の腫瘍集積増強効果" 日本消化器外科学会雑誌. 24. 2004-2011 (1991)
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[Publications] 竹田 明彦、三好 武美 他: "AngiotensinIIとTumor Necrosis Factor(TNF)併用によるモノクローナル抗体の腫瘍集積増強効果" Biotherapy. 6. 1451-1455 (1992)