Research Abstract |
本研究計画は,実験動物(ラット,マウス)及び生検によって得られる人体の各器官系の各種組織を材料として,生体の加齢によって起こる組織細胞の微細形態の変化を細胞小器官レベルにおいて解明することを目的とした。本年度は培養細胞系,運動器系,循環器系,消化器系,呼吸器系,泌尿生殖器系,内分泌器系,神経系,感覚器系の組織をグルタルアルデヒド,四酸化オスミウム固定し,エポン包埋した試料を厚切布片または超薄切片として各種染色を行い,光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察した。 その結果,培養細胞系では肝細胞の初代培養を行うと1週間で分裂増殖するが,2週で増殖は停止し, ^3Hーthymidiueにより標識するとDNA合成を示すS期細胞は1週で最大値に達し以後減少した。消化器系の小腸上皮はマウスの各日齢について電子顕微鏡により超微形態を観察すると,小胞体,ゴルジ装置,糸粒体系の細胞小器官は胎生期に急速に発達し,生後の変化は少ないが,純毛上皮細胞の高さは生後高くなり,マウスでは生後1月で最高に達し,以後減少した。小腸上皮の杯細胞は粘液顆粒をゴルジ装置で合成するが, ^3Hーglwcosaminで標識すると,顆粒の中に銀粒子が証明され,合成されたムコ多様は生後多くなり,2週で最大値に達し,以後減少した。ムコ多様の成分であるSの量を杯細胞の顆粒について分析電子顕微鏡で定量分析すると,生後2週が最大値を示した。消化器系の膵臓を ^3Hーthymidineで標識すると,S期細胞は胎生期に多く,生後減少するが,その変化は細胞の種類により異なり,導管上皮細胞では生後直ちに減少し,腺細胞は生後3日から減少した。肝臓を ^3Hthymidineで標識すると,胎生期に造血細胞が多数標識されるが生後は減少し,肝細胞は生後除々に減少し,1年までS期細胞が認められた。 その他の器官系についても現在研究が進行中である。
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