1992 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中におけるBradyrhizobium属根粒菌の生態
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02455007
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浅見 輝男 茨城大学, 農学部, 教授 (20011877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南澤 究 茨城大学, 農学部, 助教授 (70167667)
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Keywords | Bradyrhizobium / 根粒 / ダイズ / 宿主親和性 / フィンガープリント / シグナル / 遺伝生態 |
Research Abstract |
平成4年度は最終年度であるので、当初の研究計画にしたがってまとめる方向で以下のような検討を行った。 1)宿主親和性を検討した際得られた126単離株を対象として、nodDYAB遺伝子(根粒形成共通遺伝子)周辺の塩基置換度を調べたところ、8種類のnod RFLPグループに整理されたが、パターンの類似性から大きく3つのグループ(nod group A,B,C)に分けることができた。nod group Aはダイズから、nod group Bはダイズとサイラトロから、nod group Cはサイラトロのみからの単離株であった。宿主植物根への根粒形成シグナル物質であるNod factor(リポオリゴサッカライド)の分析を行ったところ、nod group A,Bの単離株は、いずれもダイズに特異的なNod factorであるNodBj-V(C_<1:18>,Me-Fuc)を生産していたが、nod group Cは別のnodfactorを生産していた。RSフィンガープリントでは多様にみえる土着ダイズ根粒菌群も宿主特異性に関わるnod遺伝子とNod factor生産でみると極めて単純であった。nod groupと系統の関係は、nod group Aが系統Iに、nod group B,Cが系統IIに対応していた。 2)日本国内の6ヵ所の畑土壌から分離された単離株のゲノムDNAのサザンブロットに対してnifDK,hup,RSα・RSβをプローブとしてハイブリダイゼーションを行なった 膨大なデータを解析したところ、土着ダイズ根粒菌の遺伝的変異の方向や集積速度は圃場によって非常に異なっていることが明らかとなった。このような変異には、共生細菌に特有な宿主植物の有無や種類が大きく影響していると推定された。 3)Bradyrhizobium属根粒菌全体の中で、ダイズ根粒菌であるBradyrhizobium japonicumの系統I、IIがどのような位置を占めるのかを調べるために、Bradyrhizobium spp.と系統I、IIの遺伝型および表現型を比較したところ、Bradyrhizobium japonicumの系統I、IIは Bradyrhizobiumの中でも均一性の高い小さい集団であることが判明した。 4)3年間の結果より、土着Bradyrhizobium属根粒菌群の生態を系統I、IIに着目し、DNAハイブリダイゼーション法で調べる方法を確立した。プローブDNAは、nifDK,nodDYAB,hup,RSα,RSβが最適であった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kiwamu Minamisawa: "Genetic Relatedness of Bradyrhizolbium japonicum Field Isolates as Revealed by Repeated Seguences and Various Other Characteristics" Applied and Environmental Microbiology. 58. 2832-2839 (1992)
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[Publications] 南沢 究: "インドール酢酸生産能によるダイズ根粒菌の系統分類法" 日本土壌肥料学雑誌. 63. 459-462 (1992)
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[Publications] 南沢 究: "ダイズ根粒菌の系統と生態" 土と微生物. 40. 37-46 (1992)