1992 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン結合型動物糖タンパク質糖鎖の新しい代謝機構の発見、実証、意義づけ
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02455022
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 貞子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00053827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 万理子 昭和大学, 薬学部, 助手 (80054021)
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Keywords | Embryogenesis / Vitellogenesis / De-N-Glycosylation / Peptide:N-Glycanase / PNGase / Phosvitin / Hyosophorin / Post-Translational Remodification |
Research Abstract |
(1)メダカ胚酸性PNGase(ペプチド:N-グリカナーゼ)の同定,精製および性質。本酵素は至適pHが3.7であり,分子量は150kであった。卵巣および胚体形成期以降には活性が検出されるが,4-cellのう胚初期には活性が認められなかった。本酵素は,メダカ卵より単離したホスビチン(グリコホスホプロティン)をよい基質とし,その糖鎖を切り出した。従って本酵素は未受精卵に蓄積されるホスビチン糖鎖の遊離(前年度までに明らかにした)に実際に関与する酵素であり,卵黄タンパク質のプロセシングや細胞内輸送(卵黄形成)に役割を果たしていると思われる。 (2)メダカ胚アルカリ性PNGaseの同定と性質。胞胚期のメダカ胚から胚盤を単離し,その抽出液に至適pH7〜9.5のアルカリ性PNGaseを同定した。本酵素活性は,胞胚期に活性上昇が認められ,胞胚後期で最大値に達した。本酵素は,表層胞由来の糖タンパク質L-hyosophorinに作用し,その糖鎖を遊離させた。メダカ胚において,L-hyosophorinの糖鎖の脱離は,受精後からのう胚期にかけて起こることが,先年度までに明らかにされているが,この時期には(1)の酸性PNGase活性は検出されないことから,L-hyosophorinの糖鎖脱離に関与するのはアルカリ性PNGaseであると考えられた。またその生理的意義は,胚盤内でPNGaseによって生成したL-hyosophorinのペプチドがホルモン様機能を持つのか,或いは,遊離糖鎖が何らかの認識に関与するかのいずれであろう。今後解明すべき課題である。 (3)補乳動物細胞にPNGase活性が発現されているか? 数種の補乳動物由来培養細胞および組織に,PNGase活性の存在が明らかにされた。 以上の結果は,PNGaseによる糖タンパク質のde-N-glycosylationが,動物細胞に広く存在するタンパク質の再修飾過程であることを示す。
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