走磁性バクテリアの走磁特性を応用した磁気測定法の開発に関する研究

1992 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02554011
• Research Institution: National Institute of Polar Research
• Principal Investigator: 船木 實 国立極地研究所, 資料系, 助手 (10132713)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 酒井 英男 富山大学, 理学部, 助手 (30134993) ; 松永 是 東京農工大学, 工学部, 教授 (10134834) ; 広瀬 茂久 東京工業大学, 理学部, 教授 (10134199)
• Keywords: 走磁性バクテリア / N極 / S極 / 磁力線 / 磁場勾配 / 培養

Research Abstract

最終年度である本年は、今までに得られた研究成果をまとめ、また不足の項目に付いて研究を進めた。
1)磁性体の保持力を走磁性バクテリアで調べる実験を行った。その結果、球菌を用い外部磁場を変化させることにより、磁化が大きく10μm以上の粒子の保持力がおよそ推定できることが判明した。
2)結晶磁気異方性を持つ鉱物に球菌を作用させ磁化方位との関係を調べる実験では、結晶軸が異なる隣接する結晶でも同一方向に磁化しているものがあることが判明した。
3)螺旋菌が菌体内にどの様にして磁性鉱物を生成するかを調べた。その結果、チトクロムc-500が末端酸化酸素の電子供与体として機能していること、マグネタイトの生合成とチトクロムcd1が関係すること等が判明した。
4)Co-Crでコーティングした磁気テープに垂直磁気記録し、それを球菌によって観察した。その結果、S極に磁化したピットとトラックが観察され、走磁性バクテリアにより磁気記録の判読が可能なことが判明した。
5)直径数ミクロンのNiCo磁気探針の先端の磁化状態を球菌によって明きらかにし、この探針が磁気力顕微鏡に適しているか否かを調べた。
6)昨年度に引続き、環境の異なる種々の河川、湖沼から試料を採集し、本研究に適した走磁性バクテリアの調査を行った。その結果、最適の菌は0.5μmの球菌と螺旋菌であることが判明した。
7)本研究で得られた知見をまとめ、これに走磁性バクテリアに関する従来の研究を付け加へ、出版物として公表した。

Research Products

• [Publications] Sakaguchi,H.,Hagiwara,H.,Fukumori,Y.,Tamaura,Y.,Funaki,M.and Hirose,S.: "Oxygen concentration dependent induction of a 140-KDa protein in magnetic bacterium Magnetospirillum Magnetotacticum MS-1." FEMS Microbiology Letters,. (1993)