1990 Fiscal Year Annual Research Report
低温光化学プロセスによる活性種の生成と制御に基づく新反応の開発
Project/Area Number |
02554021
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
赤阪 健 筑波大学, 化学系, 助教授 (60089810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 章人 日本ダウコーニング(株), リサーチセンター, 研究員
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Keywords | 接触電荷移動錯体 / 酸素マトリックス / パ-スルホキシド / ナイトレン / 光酸素化反応 / 酸素同位体 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
電子豊富な求核剤であるスルフィドや非共有電子対を有するナイトレンやシリレンの様な活性種は、酸素分子と反応し酸化生成物を生じることは既に知られているが,反応の初期に生成する活性酸素種の性質についてはほとんど研究がなされていない。本研究では、これら活性酸素種を低温酸素マトリックス中で生成させスペクトル解析により構造を解明し,さらにそれらを熱的,光化学的に制御することにより後続の反応をデザインし,特異的な新しい反応を開発しようとした。本年度は反応基質として硫黄化合物及び窒素化合物から各々スルフィドとナイトレンを代表として選択した。酸素マトリックス中13Kでスルフィドと酸素分子との接触電荷移動錯体(CT)を形成させ,その吸収波長(λmax300〜320nm)をWVスペクトルにより確認した。光照射によるCT吸収帯の励起により酸素付加体を生成させる事に成功した。確認には酸素同位体(0ー18)を用いたトレ-サ-実験の赤外吸収スペクトルの解析により行ない,生じた活性酸素種がパ-スルホキシドである事を明らかにした。ナイトレンの発生源としてアジドの光分解法を用いた。酸素マトリックス中16Kでフェニルアジドの光分解によりナイトレンを発生せしめ,酸素分子に対する反応性を検討した。スルフィドの場合とは異なり,相当するニトロソオキシドの生成は確認されず,ナイトレンの転位生成物であるジヒドロアゼピン及びその酸素分子付加体と考えられるイソシアネ-ト誘導体が生成する事を酸素同位体を用いたトレ-サ-実験及び詳細な生成物解析により明らかにした。
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