1991 Fiscal Year Annual Research Report
低温光化学プロセスによる活性種の生成と制御に基づく新反応の開発
Project/Area Number |
02554021
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
赤阪 健 筑波大学, 化学系, 助教授 (60089810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 章人 日本ダウコーニング(株), リサーチセンター, 研究員
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Keywords | シリレン / パ-オキシシラノン / ジオキサシラシクロプロパン / 酸素マトリックス / アルゴンマトリックス / 酸素付加体 / 光酸素化反応 / 酸素同位体 |
Research Abstract |
本研究は新規材料の素材としての活性分子種の設計という観点に立脚し、不安定で短寿命でしか存在することができないために材料の素材としての有用性に全く目が向けられなかった不安定分子種を極低温マトリックス単離することにより、その基本的反応性を明らかにし分子設計の素材としての可能性を検討し、従来とは全く異なる新しい物性を持つ有機機能材料の創出を図ることを目的とする。有機ケイ素化学において二価ケイ素種であるシリレンの構造と反応性について多くの興味が持たれている。スルフィドヒナイトレンよりも高反応性のシリレンを酸素マトリックス中トリシランの光分解により発生させ酸素分子との反応性、パ-オキシシラノンやジオキサシラシクロプロパン付加体の構造の解明及びそれらの熱的、光化学的変換を検討した。トリシランを極低温装置を用いアルゴンマトリックス中16KでUV照射した所、ジメシチルシリレンに担当する吸収が見られたが、酸素マトリックス中同条件下での光分解において吸収は全く見られなかった。この事はシリレンが酸素分子により速やかに捕捉された事を示しており、反応中間体のIRスプクトルによる追跡を行なった所、付加体の吸収が得られた。酸素の同位体実験により付加体はパ-オキシシラノン構造を有する事が明らかとなった。又、シリレンの酸素付加体に関する理論計算も合わせて行ない、実験結果を支持する結果が得られた。
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[Publications] T.Akasaka: "Spectroscopic Studies on Charge-transfer Photooxygenation of Disiliranes" Journal of American Chemical Society. 112. 7804-7805 (1990)
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[Publications] T.Akasaka: "Photochemical Formation of Peroxidic Intermediates and Their Structures in a Cryogenic Oxygen Matrix" Nippon Kagaku Kaishi. 1440-1446 (1989)
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[Publications] T.Akasaka: "Reaction of Dimesitylsilylene in a Cryogenic Oxygen Matrix:IR Spectroscopic Observation of a Silylene-Oxygen Adduct" Journal of American Chemical Society. 110. 6270-6272 (1988)