1991 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィンから五員環複素環化合物の一段階合成法の開発
Project/Area Number |
02554022
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大坪 徹夫 広島大学, 工学部, 助教授 (80029884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安蘇 芳雄 広島大学, 工学部, 助手 (60151065)
小倉 文夫 広島大学, 工学部, 教授 (90028150)
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Keywords | 五員環複素環 / ヘテロ元素 / テルル化合物 / 付加反応 / 環化反応 |
Research Abstract |
周期表16族のテルル元素の化学はヘテロ元素の中でも未開の分野で、最近、その特異な反応性に注目されている。本研究では、IV価のテルル基質がオレフィンに容易に求電子付加できることと求電子反応の脱離を行うことに着目し、有機テルル(IV)によって誘起されるオレフィンから五員環複素環化合物の一段階変換法の開発および実用化を検討している。前年度までの研究で、オレフィンに対して活性である新規の有機テルル(IV)合化物(ベンゼンテルリン酸混合酸無水物)を開発した。この化合物はオレフィンに対して極めて活性で容易に求電子付加反応を引き起こし、適当な求核剤と組み合わせると、アミノテルリニル化反応やアミドテルリニル化反応を起こすことが分かった。更に、これらの反応を高温で行うと、付加に引き続いてテルニリル基の脱離による分子内環化反応が起こり、オキサゾリジノン、オキサゾリンの五員環複素環化合物を一段階で生ずることが分かった。本年度は更に、この反応のアセチレンへの拡張を検討した。同様な反応が起こるとアセチレンから不飽和の五員環複素環化合物を一段階で得られる可能性がある。そこでアセチレンをアセトニトリル中混合酸無水物のベンゼンテルリニル=トリフレ-トと取り扱うと、末端アセチレンからはシス-β-アセトアミドテルリド付加体を、一方、内部アセチレンからはオキサゾ-ルを主生成物として生じることが分かった。この反応性の違いを理解するために、内部アセチレンとの反応を低温で行うと、まずトランスの付加体を与え、これがオキサゾ-ルに分子内環化反応を起こすことが分かった。また、一部はシスに異性化を起こすが、これからはオキサゾ-ルを生じないことが分かった。このオキサゾ-ルを生じる新反応は不飽和五員環化合物の簡便な合成反応であり、目下、その他の複素環化合物への応用を検討中である。
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