1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02555001
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
下山 雄平 北海道教育大学, 教育学部・函館分校, 教授 (50123948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亘 弘 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (10079692)
松木 貴司 北海道教育大学, 教育学部・函館分校, 助教授 (00157281)
吉田 栄久夫 日本電子株式会社, 分析機器技術本部, 部長
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Keywords | ベクトルESR / マルチ変調 / 位相スペクトル / 強度スペクトル / 飽和移動 |
Research Abstract |
従来、我々は電子スピンを担う原子または分子の遅い運動の検出をすベく飽和移動ESR法の研究を進めてきた。この手法が生体系のみならず、広く石炭を含む工業材料に適用できることを示した。飽和移動スペクトルのピ-ク強度と積分値が磁場変調の位相によって正弦波的に変化し、しかも両者の間に、ある位相差が存在することが示された。このことは、飽和移動スペクトルが少なくとも二成分よりなり、しかも信号波の位相が各共鳴磁場において一定でないことを示した。この知見は、ベクトル概念をもとにして、振幅と位相のスペクトルを定義し、掃引効果を含むESRスペクトルの解析の糸口を与えた。 本年度の研究では、上述の知見をもとに、全く新しいタイプのESR測定法、振幅のみでなく位相も考慮したベクトルESR測定法および測定装置の開発と物性研究を行なった。現在すでに測定法と装置が完成している。信号ー雑音比の改善と大量のデ-タの高速一括処理が可能となることによりベクトルESR測定法が実用に供することができた。位相情報や動的性質に関する知見を与えること、また本装置よりアモルファス固体や生体系における構成素子の揺らぎの動的解析を可能となった。 特に異常飽和を占めすフラビン・ラジカル、メト・ヘモグロビンおよびカタラ-ゼ等の生体高分子系における測定は興味ある結果を示している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Shimoyama,O.Ichikawa and H.Watari: "Vector Saturation Transfer ESR Studies of Coal" FUEL. 69. 1237-1242 (1990)
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[Publications] Y.Shimoyama and H.Watari: "Anisotropic Dynamics in an Oriented Lipid Multibilayer Revealed by Vector EPR Spectroscopy" Springer Verlag(Ed.Onuki and Kawasaki), 223 (1990)