1991 Fiscal Year Annual Research Report
加工極表面の'その場'評価のための超薄片加工装置の試作
Project/Area Number |
02555017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須賀 唯知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (40175401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安永 暢男 新日本製鐵株式会社, 第一技術研究所, 主任研究員
高橋 裕 三重大学, 工学部・機械工学科, 講師 (10216765)
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Keywords | ディンプラ / 透過電子顕微鏡観察 / 表面損傷 / 脆性材料 / セラミックス / マイクロクラック / 粒界破壊 / メカノケミカルポリシング |
Research Abstract |
本研究においては,超精密位置制御機構を備えた自動研磨装置の試作を行い,機械研磨のみにより歪みの入らない透過電顕用薄膜試料の作製技術の確立を目的とした。 セラミックスの表面における加工損傷の観察結果から,高精度高能率の鏡面加工として注目されているメカノケミカルポリシングの手法を取り入れた新しい研磨の概念に基づく"ス-パ-ディンプラ"の設計・開発を行った。溶液中で高速回転するディスクを非接触で試料表面に近付けることにより,巻き込まれた砥粒が試料との間でメカノケミカル反応を起こし,表面を無歪みで研磨を行うことを原理とする。 メカノケミカル反応を進行させるために,工具の回転には高速DDエアスピンドルを採用し,回転数1万rpm程度で工具を回転させメカノケミカル反応の進行する条件を整えた。そして,薄片加工のため,最小ステップ0.0156μmで試料を送ることが出来る機構を採用した。そして加工条件として重要な加工圧を測定するためにロ-ドセルを,そして加工部に余計な圧力をかけず工具と試料の間隔を測定するために過電流式の非接触変位計を用いた。これらにより,非接触加工のための機構は完成した。 装置作製の後,通常用いられているアルミナ砥粒で実験を行ったところ,非接触状態で除去加工が進行していることを確認した。これは,メカノケミカルポリシングを用いたディンプル加工が可能であることを意味し,即ち将来的に加工時間を大幅に短縮し,表面損傷を回避した透過電顕用の薄膜作製が十分に期待できることを示唆している。また,実際には完全な非接触状態を定常的に作ることは困難であることがわかった。今後は工具の材質,形状などの改良により加工の性能が上がると考えている。
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[Publications] 高橋 裕,菊池 正雄,鈴木 重信,須賀 唯知: "窒化アルミニウム多結晶基板の湿式研磨における表面損傷の電子顕微鏡観察" 日本セラミックス協会学術論文誌. 99. 613-619 (1991)
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[Publications] M.Kikuchi,Y.Takahashi,T.Suga,S.Suzuki,and Y.Bando: "Mechanochemical Polishing of Silicon Carbide Single Crystal with Chromium (III) Oxide Abrasive" Journal of the American Ceramics Society. 75. 189-194 (1992)