1991 Fiscal Year Annual Research Report
その場観察走査トンネル顕微鏡システムの試作とSCCき裂初生過程の原子オ-ダ観察
Project/Area Number |
02555018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
駒井 謙治郎 京都大学, 工学部, 教授 (70025948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 雅敏 電子技術総合研究所, 極限技術部, 部長
箕島 弘二 京都大学, 工学部, 助教授 (50174107)
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Keywords | トンネル顕微鏡 / その場観察 / 腐食 / 応力腐食割れ / 粒界腐食 / 腐食ピット / ステンレス鋼 / 鋭敏化処理 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度導入・設計・試作を行ったSTM本体部,3点曲げ超小型応力腐食割れ試験機に対して,1)探針,試料,対極間それぞれの電位を設定することのできるバイポテンショスタット機構を有する特殊腐食セル,2)水溶液環境下で流れるイオン電流を,試料と探針の間を流れるトンネル電流に比べて著しく小さくするために,探針先端の一部を除いてガラスコ-トしたガラスコ-ト探針を組み合わせて,その場観察走査トンネル顕微鏡(STM)システムの試作を行った.この試作システムを用いて,昨年度に引き続いてまず実験室空中において,鋭敏化処理を行ったSUS304オ-ステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れき裂の先端形状の3次元形状の超高倍率観察を行った.表面き裂は,き裂先端に向かって徐々に浅くなっていくこと,き裂先端に楕円状の腐食溶解部が生じる場合があること,き裂をはさんだ両面で表面の高さが大きく異なる場合があること,き裂は進展後,結晶学的な優先方位に沿って溶解することによりき裂幅が大きくなることなどを明らかにした.さらに,水溶液環境下においてビッカ-ス圧痕ならびに鋭敏化処理オ-ステナイト系ステンレス鋼の粒界腐食成長過程のその場STM観察が可能であることを示して,本試作システムの有用性を明らかにした.さらに,応力腐食割れ試験のように,試料表面に腐食生成物が厚く生じる場合は,トンネル電流の検出が困難となる場合があり,このような場合に対しては,原子間力を測定することにより3次元形状を求める,走査型原子間力顕微鏡(AFM)が適していることなど,超高分解能3次元観察によってはじめて明らかになった貴重な成果が得られた.
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Research Products
(1 results)