1990 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚情報を総合した動的景観シミュレ-タの開発とアメニティ空間評価手法の向上
Project/Area Number |
02555119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
灘岡 和夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70164481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 潮 運輸省, 港湾技術研究所・計画基準研究室, 研究官
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助手 (80201820)
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Keywords | 景観シミュレ-タ / 音環境 / コンピュ-タグラフィクス / 波 / 砕波 / 波の音 / アメニティ / 動的表現 |
Research Abstract |
近年、より快適な環境空間創造にむけて、その空間・施設設計支援ツ-ルとして景観シミュレ-タの必要性が広く認識されつつある。しかしながら、既存のシミュレ-タは、その対象が「景観」すなわち視覚情報のみに限られており実際の五感全体を通しての環境認識過程に比べて部分的なシミュレ-トしか行っていないというような問題点を抱えている。 そこで本研究では、このような従来の景観シミュレ-タの限界を脱却すべく、視覚情報に聴覚情報も統合した形の、より一般性のあるシミュレ-タの開発を行うことを試みた。具体的には、総合的な環境認識過程を取り扱う上で一つの典型的な空間である海岸空間をシミュレ-トの対象としてシステムを構成した。これは、波の音に代表される聴覚的要素が対象空間のアメニティ的要素の中で重要な役割を演じているという点からだけではなく、それに対応する波の動き(特に砕波)の存在が対象空間中のダイナミックな景観要素として機能しており、視覚上の表現対象としても従来にない新しい課題となっていることによる。 このような視・聴覚上の動的な要素を表現するため、本研究では、コンピュ-タグラフィクスシステムに音響処理部を組み合わせたハ-ドウェアを構成し、さらにいくつかのソフトウェアを新たに開発することにより、波の動き自体の動的表現も含めて、視点(観測者の位置)の違いによる視覚情報・聴覚情報の動的変化をシミュレ-トすることを試みた。特に、波の動的なグラフィクス表現については、できるだけ海岸工学上の力学的知識を取り込み、海岸構造物の配置等に対応した表現が可能になるように留意したが、同時にいくつかのソフト上の工夫によって計算容量や計算速度の面において計算機に負担がかからない方法を開発した。 最後に、具体的なケ-ススタディを通じて、開発したシステムの海岸空間設計への利用法について検討するとともに、その有効性を確認した。
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Research Products
(2 results)