1992 Fiscal Year Annual Research Report
高性能FRPの代替を指向する分子複合材料の開発研究
Project/Area Number |
02555182
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高柳 素夫 九州産業大学, 工学部, 教授 (40037643)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 茂行 九州産業大学, 工学部, 講師 (90069576)
米光 直志 九州産業大学, 工学部, 教授 (00069501)
永石 俊幸 九州産業大学, 工学部, 教授 (20069529)
|
Keywords | 分子複合材料 / 剛直棒状分子 / ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド) / ナイロン6 / 相分離 / 分子分散 / FTIR |
Research Abstract |
FRPの強化繊維に対応する剛直棒状分子として、ポリ(p-フェニレンテレフタラミド)(PPTA)を用い、マトリックスとしての屈曲性分子には、PPTAとの分子間相互作用の大きいナイロン6(Ny6)を分子複合材料(MC)のモデル系に選んだ。FRPの問題点が強化繊維の強度の限界にあることの他に、FRPの材料組織が不均一であるために脆性を示すことにあり、分子レベルで均一な組織をもつMCの実現する条件を検討した。 従来、PPTAとNy6の琉酸溶液からの析出によるMCの調製方法では、PPTAが凝集してNy6マトリックス中にミクロフィブリルの網目構造を形成してMCが脆くなる。本年度は、PPTAの拡散・凝集を阻止するため、Ny6の分子量を巨大化した場合の効果を検討した。すなわち、Ny6の分子量1.8万(A試料)、11万(B試料)、26万(C試料)を用いたMCの組織を比較した。偏光顕微鏡(POM)の直交偏光子下では、成形温度240℃(Ny6融点215℃)の試料は、Ny6-CのMCのみ暗視野となり、他は相分離を起こした。これらの試料のFTIRのN-H伸縮振動の吸収でも、Ny6-CのMCのみが単一の鋭いピークを示し、他はPPTAとNy6の特性バンドに分離して広幅な吸収になった。単一の吸収ピークは、PPTAとNy6のアミド間で交差水素結合の生成によるもので字義通りのMC生成を示し、POMの結果とも一致する。PPTA/Ny6の9/1から1/9の範囲のMCの応力-歪曲線を比較したところ、構造的に分子分散が証明できたNy6-CのMCが弾性率、強度共に他より優れており、分子分散の効果が有効であることが証明された。巨大分子量のマトリックス分子の内部粘性がPPTA分子の拡散・凝集を阻害して分子分散を可能にした。なお、PPTA過剰では、Ny6のIRの結晶特性吸収も消失し、DSC曲線にもNy6-Cの結晶化、融解ピークも消失して相分離が起こっていない。MCの変形挙動について、棒状分子間の応力伝達様式についての理論的考察も行った。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] M.Takayanagi: "Mechanical relaxation of poly(p-phenylene terephthalamide)thin film" Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications. 17. 317-324 (1992)
-
[Publications] S.Ueta,T.Sakamoto,and M.Takayanagi: "Effects of Molecular Weight of Nylon 6 on the Structure and Properties of Nylon6/Poly(p-phenyleneterephthalamide)Molecular Xomposite" Polymer Journal. 25. 31-40 (1993)
-
[Publications] S.Ueta,W.-Y.Lei,K.Koga,and M.Takayanagi: "Preparation of N-Grafted Poly(p-phenylenetere-phthalamide)and Applications to a Molecular Composite with Epoxy Resin" Polymer Journal. 25. 185-191 (1993)
-
[Publications] M.Takayanagi: "Progress in Pacific Polymer Science 2" Springer-Verlag Belrin Heidelberg, 1-12 (1992)