1992 Fiscal Year Annual Research Report
キチン誘導体を用いた担持形式の異なる徐放性医薬開発に関する研究
Project/Area Number |
02555183
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸倉 清一 北海道大学, 理学部, 教授 (40000806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 寛 富士紡績(株), 商品開発研究所, 主任研究員
三浦 嘉晃 北海道大学, 理学部, 教務職員 (00240630)
西 則雄 北海道大学, 理学部, 助教授 (70001857)
重政 好弘 鳥取大学, 工学部, 教授 (00032029)
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Keywords | カルボキシメチル-キチン / キトサンビーズ / アルギン酸繊維 / 徐放性 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
生体内消化性キチン誘導体であるカルボキシメチル-キチン(CMーキチン)を担体とする高分子化医薬による医薬輸送について実用化を目指した研究を行った。医薬をCMーキチンにペンダントする場合、スペーサーと医薬間の結合を分子設計することにより、皮下注射でも生体内で2次元加水分解を受けて血管内で医薬の活性化の起こることを明らかにした。また、CMーキチンはカルシウムイオン存在下でベンジル基を持つ医薬類を特異的に吸着すること、更にこの吸着によりCMーキチンが高分子量を保つ間は吸着した医薬の安定化の寄与する事も見いだした。この際プロドラッグを吸着させると、やはり2次元加水分解が起こることも見いだした。一方、CMーキチン水溶液に3価の鉄イオンを添加すると共存する医薬を巻き込んでゲル化が起こることも見いだした。しかも添加する鉄イオンが2価であれば全く影響なくゾル状態であり、医薬との均一混合が非常に楽である。しかしこれらの方法では、高分子量の医薬を包接する事は出来ないので、この場合はカルシウムイオンによる吸着と3価鉄イオンによる包接との協同作用で医薬或いはプロドラッグの包接に成功した。更に多孔性キトサンビーズをNーアセチル化後、インスリンを濃縮吸着させる手法についても研究し、糖尿病ネズミに経口投与でかなりの効果が観測できた。また海草由来の多糖であるアルギン酸にインスリンを高濃度で包含させたままで紡糸後細粉化する手法についても研究し前記ネズミに経口投与し非常に良い結果を得た。この様に水溶性で生体内消化性のCMーキチンは徐放性医薬の担体として好適であることを示し、更に実用化の障害となる毒性についても ^<14>C標識CMーキチンや蛍光標識CMーキチンを用いて詳しく研究し低毒性であると共に静脈注射により骨髄細胞とくに顆粒球とマクロファージに集積されることを見いだし実用化へ明るい見通しをつけた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Uraki,Y.: "Site specific binding of calcium ions to anionic chitin derivatives." Carbohydr.Polym.20. 139-143 (1993)
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[Publications] Tokura,S.: "Two-step Hydrolyses of Polymeric Drug under a Model system." Carbohydr.Polym.19. 185-190 (1992)
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[Publications] Watanabe,K.: "Antimetastatic activity of neocarzinostatin incorporated into controlled release gels of CM-chitin." Corbohydr.Polym.17. 29-37 (1992)
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[Publications] Murata,J.: "Inhibition of Tumor-induced Angiogenesis by Sulfated Chitin Derivatives." Cancer Res.51. 22-26 (1991)
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[Publications] Murata,J.: "Inhibition of Tumor Cell Arrest in Lungs by Antimetastatic Chitin Heparinoid." Jpn.J.Cancer Res.81. 506-513 (1990)
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[Publications] Watanabe,K.: "6-O-carboxymethyl-chitin(CM-chitin)as a drug carrier." Chem.Pharm.Bull.38. 506-509 (1990)