1991 Fiscal Year Annual Research Report
海藻バイオテクノロジ-による水産フレ-バ-の生産開発
Project/Area Number |
02556025
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
梶原 忠彦 山口大学, 農学部, 教授 (90035121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 哲夫 塩野香料(株), 基礎研究部, 主任
嵯峨 直恒 東海大学, 海洋学部, 教授 (10231333)
松井 健二 山口大学, 農学部, 助手 (90199729)
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Keywords | 固定化生細胞 / フレ-バ- / 生合成 / 生産 / 培養 / プロトプラスト / 揮発成分 |
Research Abstract |
海産緑藻アナアオサの特徴的な揮発成分である長鎖アルデヒドの高生産を目指した研究の一環として、(1)海藻における長鎖アルデヒド高生成活性株の検索および細胞の選抜。(2)アナアオサ藻体からの長鎖アルデヒド生成酵素の精製およびその諸性質(基質特異性、至適pH、阻害効果)の検討ならびにアルデヒド生合成中間体の検索を行うとともに、高生産条件を確立する。(1)プロトプラストからの高生産細胞を作出した。一方、46種類の海藻についての検索結果から、高生産性の緑藻株が明らかになるとともに長鎖アルデヒド生成活性(LCAA)は、褐藻、紅藻に広く分布することが初めて明らかになり、褐藻の性フェロモン生産上極めて重要な知見が得られた。(2)アナアオサ藻体を磨砕後、分画遠心(19000g ppt)、イオン交換クロマトグラフィ-によりLCAAを分離精製した。LCAAはグリセロ-ルの添加により安定化され、その至適pHは8.5〜9.5であった。LCAAはパルミチン酸>α-リノレン酸≧リノ-ル酸をよい基質とし、イミダゾ-ル、グルコ-スオキシダ-ゼ、ペルオキシダ-ゼ、により強く阻害されることが分かった。他方、精製LCAAにパルミチン酸を添加した系において、ペンタデカナ-ル、2-ヒドロキシ酸、2-オキソ酸とともに、生合成中間体2-ヒドロペルオキシ酸を検出することに成功した。これらの知見は、これら中間体を有機合成し、このものを基質とすることによって固定化生細胞によって種々の水産フレ-バ-の高生産開発の可能性を示すものである。
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[Publications] 梶原 忠彦: "海藻の細胞培養による有用物質の生産" FRAGRANCE JOURNAL. 4. 102-107 (1991)
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[Publications] 梶原 忠彦,松井 健二,川合 哲夫: "Distribution of long chain aldehyde-forming activity from fatty acids and changes in its activity with growth in marine algae." Phytochemistry. 31. (1992)