Research Abstract |
平成4年度は,まず視覚部として,平成3年度に作成したブドウ各部の形状認識および位置検出のプログラムを改良することにより,さらに正確な認識及び位置検出が可能となった。そこでこのソフトウェアを用いて,キャンベル・アーリー,マスカット・オブ・アレキサンドリア,およびデラウエアを供試材料として,識別実験ならびに位置検出実験を行った結果,収穫作業に対してはほぼ満足した結果を得た。さらに,これらの品種の分光反射特性を測定し,大型計算機を用いて,さらに広範囲の波長帯域を用いたときの識別の容易さを計算することにより,知見を深めることができた。ハンド部については,DCモータを交換するなどして収穫用ハンドの改良を行った。それに加えて,摘粒・整房用ハンドを試作し,制御用プログラムを作成し,室内実験を行うことにより,摘粒・整房作業のロボット化の可能性を確認した。マニピュレータ部については,既に試作済みの極座標型5自由度マニピュレータを,指定した位置までCP制御するソフトウエアの改良を行った。さらに,前述した視覚部ならびに収穫用ハンドを,マニピュレータ先端に装着し,室内で収穫基礎実験を行った結果,穂軸を把持し,切断する方法で良好に収穫可能であった。また,収穫ハンドに付加した果房押出機能も効果的であった。 以上の視覚部および収穫用ハンドを装着したマニピュレータ部を走行部に搭載し,岡山大学附属農場において,果実収穫実験を行った。その結果,栽培様式が整っていれば,ほぼ収穫可能であった。また,移動の際の走行部の安定性は,ほぼ満足のいくものであった。今後の課題として,滴粒・整房ハンドの圃場における有効性の確認および走行部の自律走行等が残された。
|