1990 Fiscal Year Annual Research Report
エキシマレ-ザ-による中枢神経再生の実験モデルの作成
Project/Area Number |
02557002
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井出 千束 神戸大学, 医学部, 教授 (70010080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
似鳥 徹 岩手医科大学, 医学部, 助手 (90128934)
藤坂 伸一 浜松ホトニクス, 研究部・メディカルホトニクス, 研究員
佐藤 勝彦 浜松ホトニクス, 研究部・メディカルホトニクス, 室長代理
遠藤 稿二郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10129033)
林 達郎 浜松ホトニクス, 研究部・メディカルホトニクス, 部長
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Keywords | 神経再生 / エキシマレ-ザ- / 中枢神経 / 脊髄後索 / 錐体路 / 組織修復 |
Research Abstract |
本年度はエキシマレ-ザ-の発振装置(C3470ーX11)を購入し、基礎実験を始めた。実験はラットの頚髄後索または錐体路において、レ-ザ-による切断後の組織修復を電子顕微鏡で調べた。 いずれの部位についても、まず適当なレ-ザ-の強さを決めるためパルス当り10mJから70mJのエネルギ-で、1パルス照射することにより50mJが適当であると判定し、以後このエネルギ-で実験を行なった。まず脊髄後索ではC_<1ー2>の頚椎間を開き、硬膜を切開して後索を露出させた。その後、経時的に動物を固定し照射部位の変化を見た。切断直後の組織を観察すると、神経線維は非常に鋭利に切断されており、切断部位周辺への影響はほとんど見られなかった。しかしグリア細胞は照射部位を中心に破壊像が認められた。7日では、切断部位に無髄軸索が多数あらわれ、星状膠細胞がそれらの一部を囲んでいた。一部の軸索は、ミトコンドリアや多数の小胞を含み再生像を思わせた。また血管の増生も認められた。14日では表層にある軸索はシュワン細胞によって、深部にある軸索は稀突起膠細胞によって髄鞘形成がなされていた。照射後28日まで観察したが、組織修復は良好で、空洞の形成は見られなかった。この事実はエキシマレ-ザによる後索の破壊が、従来の実験方法による場合と違って、中枢神経系の再生実験に有力な武器になる得ることを示している。一方錐体路の切断実験も同様にして3回の実験を行なった。この場合も同様に、空洞の形成がなく,組織の修復は良好であった。錐体路は延髄を露出させて照射するため、照射の影響によって死亡する動物が多いことが問題であった。また中枢神経の再生実験につきものの、『損傷軸索の識別』という問題が今後の大きな課題として残されている。
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