1992 Fiscal Year Annual Research Report
新規Cl^-感受性蛍光色素による細胞内Cl^-濃度の多点経時変化測定法の開発と応用
Project/Area Number |
02557012
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
稲垣 千代子 関西医科大学, 医学部, 教授 (60025640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓜生 斗支子 関西医科大学, 医学部, 助手 (40203608)
原 満良 関西医科大学, 医学部, 助手 (50192282)
大谷 ひとみ 関西医科大学, 医学部, 助手 (40140272)
井上 雅史 関西医科大学, 医学部, 講師 (90203257)
大森 京子 関西医科大学, 医学部, 講師 (90152256)
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Keywords | クロライドイオン / Cl^-感受性蛍光色素 / 細胞内Cl^-濃度 / 角膜内皮細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 脳海馬錐体細胞 / エタクリン酸 / フロセミド |
Research Abstract |
本年度研究実施計画に添って実験を進め、次の成果を得た。実験にはCl^-感受性蛍光色素MQAEを負荷した初代培養細胞を用い、初年度に設計購入した蛍光顕微測光装置により、単一細胞レベルおよび単一細胞内特定領域のCl^-濃度を測定した。 1.角膜内皮細胞:ウサギ角膜内皮細胞ではα_2アドレナリン性受容体を介して細胞内Cl^-が排出される。α_2受容体刺激により細胞内Cl^-濃度が低下した状態では、β受容体刺激またはフォルスコリンによるアデニレートシクラーゼ直接刺激により細胞内Cl^-濃度が上昇し、β受容体-cAMP系を介して内皮細胞膜のCl^-透過性の上昇またはCl^-取り込み機構の活性化されることが明らかになった。 2.網膜色素上皮細胞:ウサギ網膜色素上皮細胞では細胞内Cl^-濃度が約90mMの高濃度を示し、ナトリウム利尿ペプチドはフロセミド感受性Na^+/K^+/Cl^-共輸送系の活性化を介して細胞内にCl^-を蓄積することが明らかになった。 3.脳海馬錐体細胞:ラット脳の海馬錐体細胞の細胞内Cl^-濃度について細胞内部位別に比較したところ、線維状突起部>周辺部>細胞中心部の順にCl^-濃度は低下した。また、Cl^-ポンプ阻害剤であるエタクリン酸およびNa^+/K^+/Cl^-共輸送系阻害剤であるフロセミドおよびブメタニドに対する反応から、Cl^-ポンプは神経細胞の中心部に、またNa^+/K^+/Cl^-共輸送系は周辺部に高密度に存在することが明らかになった。 以上、本研究により初代培養細胞内Cl^-濃度の多点経時測定法が確立され、諸種細胞のCl^-関連研究に応用し得ることが明らかになった。
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[Publications] Hara,M.: "Uneven distribution of intracellular Cl^- in rat hippocampal neurons" Neuroscience Letters. 143. 135-138 (1992)
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[Publications] Inoue,M.: "Ethacrynic acid-induced conuulsions and brain neurotransmitters in mice" European Journal of Pharmacology. 221. 135-137 (1992)
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[Publications] Ohnishi,S: "Delayed shortening and shrinkage of cochlear outer hair cells" American Journal of Physiology. 263. C1008-C1095 (1992)
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[Publications] 稲垣 千代子: "(総説)神経細胞内クロライドイオン濃度の制御系とその人工修飾" 日本薬理学雑誌. 99. 307-315 (1992)
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[Publications] Hirose,T.: "Enflurane-induced release of an exutatory amino acid,glutamate,from・・" Anesthesiology. 77. 109-113 (1992)
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[Publications] Otani,H.: "Different patterns of protein kinase C redistribution mediated by α_1-adrenoceptor." British Journal of Pharmacology. 107. 22-26 (1992)
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[Publications] Inagaki,C.(分担): "Electrogenic Chloride Transporter in Biological Membrane" Springer-Verlag, 20 (1993)
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[Publications] 稲垣 千代子(分担): "実験医学:膜電位依存性Cl^-チャネル(イオンチャネルとレセプター)" 羊土社, 6 (1992)