1991 Fiscal Year Annual Research Report
ATP感受性K^+チャネル蛋白分子の新しい標識物質の開発
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02557039
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平岡 昌和 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80014281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 三郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10127136)
中山 仁 北海道大学, 薬学部, 助手 (70088863)
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Keywords | ATP感受性K^+チャネル / 単一チャネル電流 / ニコランジル / グリベンクロマイド / K^+チャネル蛋白 |
Research Abstract |
平岡は、ATP感受性K^+チャネルの開口薬の機能一構造相関の解明のため、パッチ・クランプ法を用いて種々の化学物質のチャネルへの作用を検討した。その結果、nicorandilはチャネルの開口状態(0)と遅い閉口状態(C_2)間の移行に作用し、burstの開口時間延長、burst間の閉口時間の短縮をもたらした。この作用はpinacidilと同様で、ATPとは拮抗する作用であることを明らかにした。さらに三つのcarbonyl物質にもこのチャネル開口作用のあることを見出し、その作用発現には細胞内ADPの存在が不可欠であることを明らかにした。中山はATP感受性K^+チャネルの精製・単離をめざし、以下の結果を得た。1。脳には[ ^3H]glibemcramideとの結合で、高親和性(kd=0.5mM,Bmax=15fmol/mg)と低親和性を示すもの(kd=400mM,Bmax=5Pmol/mg)が存在したが、心筋には低親和性成分しかなく、またGTP/GDPを加えても高親和性への移行は認められないことから、2種の成分は別のタンパク質と考えられた。2。脳(心筋)膜区分の可溶化標品は、吸着クロマトとWGA-レクチンカラムによって高親和性成分だけが100倍以上精製された。精製試料では分子量150kDaのポリペプチドがenrichされたが、他に数本のポリペプチドも認めた。3。新規に合成した光反応性[ ^<14>C]glibemcramide誘導体は既存の[ ^<125>I]誘導体よりも格段に優れた試薬となり、この試薬を用いて心筋標品中の60kDAタンパクが特異的に標識できた。同様の条件で脳の低親和性成分は標識されない。以上のように心筋では60kDa、脳では少なくとも150kDa成分がglibencramide結合能を有するK^+チャネルの構成タンパクと判断できる。この結果をふまえ、これらのタンパクを特異的に認識する単クロ-ン抗体の作成を進める。堀川は、本研究の目標であるATP感受性K^+チャネルの機能及び構造解析の際に必要とする、他の6種類の既知のK^+チャネルのcDNAの単離を試みた。方法は、ラット心臓及び脳のmRNAより一本鎖cDNAを作製し、PCR法によりそれぞれのK^+チャネルのcDNA断片を合成した。現在、それぞれのK^+チャネル蛋白の全長のcDNAを得るべく、昨年度に作製したcDNAライブラリ-より、それぞれのクロ-ンの分離を試みている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Nakayama,K.,Fan,Z.,Marumo,F.,Sawanobori T.& Hiraoka,M.: "Action of nicorandil on ATP-sensitive K^+ channel in guinea-pig ventricular myocytes." British Journal of Pharmacology. 103. 1641-1648 (1991)
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[Publications] Taki,M.,Kuniyasu,A.Nakayama,H.& Kanaoka,Y.: "Synthesis of Diazipine and [ ^3H]Diazipine: Novel Dihydropyridine for Photoaffinity Probes" Chem.Pharm.Bull. 33. 1860-1862 (1991)
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[Publications] Taki,M.,Nakayama,H.& Kanaoka,Y.: "Diazipine,A Novel Photoaffinity Probe for Dihydropyridine Receptors of Calcium Channels" FEBS Lett.283. 259-262 (1991)
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[Publications] Nakayama,H.,Taki,M.Striessnig,J., Glossmann,H.et al.: "Identification of the 1,4-Dihydropyridine Binding Region within the alpha I Subunit of Skeletal Muscle Ca^<2+> channel by Photoaffinity Labeling with Diazipine" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 88. 9203-9207 (1991)
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[Publications] Nakayama,H.,Taki,M.Kanaoka,Y.: "Synthesis and Properties of Diazipine, A Novel Photoaffinity Probe of Calcium Channel-Linked Dihydropyridine Receptors" Methods in Pharmacology. 7.
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[Publications] Horikawa,S.& Tsukada,K.: "Molecular cloning and nucleotide sequence of cDNA encoding the human linear S-adenosylmethionine synthetase." Biochemistry International. 25. 81-90 (1991)
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[Publications] 平岡 昌和: "心筋のK^+チャネル" 心電図. 23. 318-326 (1991)
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[Publications] 平岡 昌和: K^+チャネル開口薬の心筋・血管平滑筋への作用. 14. 39-47 (1991)