1991 Fiscal Year Annual Research Report
脳血液関門を通過し.神経細胞を標的する修飾酵素の作成
Project/Area Number |
02557042
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Research Institution | Tokyo Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (50056909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 薫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80205070)
佐々木 伸彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50170684)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90167255)
所 敏治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40112841)
伊藤 文之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (10057010)
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Keywords | 脳血液関門 / 酵素補充法 / cerebrosideβ-galactosidase / マンノ-ス / 酵素抗体染色 / リポゾ-ム / グリア細胞 |
Research Abstract |
先天性代謝異常症の多くは脳障害を合併するため酵素補充療法を行う。これは脳血液関門を通過し、神経細胞あるいはグリア細胞を標的にする修飾酵素の開発が必要である。我々は1)ゴ-シェ病で欠損しているcerebrosideβ-galactosidaseの酵素をノイラシニダ-ゼ、ガラクトシダ-ゼ消化してmannose terminalとして、マウス尾静脈より注射して脳、肝、腎等の組織への酵素の移行を酵素抗体法を用いて検討した。酵素活性は投与後15分に最も活性が高く見られた。酵素抗体染色は、脳では血管由来と思われる内皮細胞、ミクログリア細胞にモノクロ-ナル抗体で染色される像が見られ、肝では肝細胞よりクッパ-細胞により多くの染色像がみられた。これよりマンノ-ス末端グルコセレブロシダ-ゼは脳血液関門を通過し神経細胞に取り込まれ、リピド-シスであるゴ-シェ病の治療としてマンノ-ス末端グルコセレブロシダ-ゼは神経障害の治療にも有効であることが明らかにされた。さらにマンノ-ス末端セレブロシダ-ゼの組織特異性を更に検討中である。また2)リポゾ-ムに酵素を包埋して表面構造を各種糖鎖を結合させ脳血液関門通過ならびに脳細胞への特異的標的機構を検討した。リボゾ-ムをレシチンコレステロ-ルスルファチド或いは、P-amiuophenyL α-mannosideを用いて、リボゾ-ムを作成し表面に ^3H-galactocerebrosideをラベルしてマウス腹腔内へ注射し脳内への移行を検討した。mannoseをラベルしたリボゾ-ムは特異的に脳内に取り込まれることから、マウスの脳血液関門はマンノ-スを認識することを明らかにした。また脳内に取り込まれたリボゾ-ムが脳細胞のどの細胞に取り込まれるかリボゾ-ムをマウスに注射後、神経細胞、グリア細胞を分離して検討するとリボゾ-ムの放射活性はグリア細胞に最も取り込まれることを明らかにした。
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[Publications] Kawame H.,Eto Y.: "A New Glucocerebrosidase-Gene Missense Mutation Responsible for Neuronopathic Gacher Disease in Japanese Datients." Am.J Hum Genet. 49. 1378-1380 (1991)
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[Publications] Ida H.,Eto Y.,Maekawa K.: "Biochemical pathogensis of demyelination in globoid cell Leukodystvophy(Krabbe's disease)" Acta Pediatr.Jap.32. 20-26 (1990)
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[Publications] Ida H.,Eto Y.: "Biochemical and Morphological studies of dorsal root ganglion and its cultured from twitcher mouse" Brain and Develop. 12. 412-416 (1990)
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[Publications] 衛藤 義勝: "ライソゾ-ム病の骨髄移殖による治療法の最近の進歩" 小児科診療. 43. 645-651 (1990)
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[Publications] Ida H.,Eto Y.Maekawa K.: "Fetal GM_1-gangliosidosis:Morphological and biochemical studies." Brain and Develop.11. 394-398 (1989)
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[Publications] 衛藤 義勝: "遺伝子組み変え技術により作製した天然ヒト成長ホルモン製剤,SJ-0011の下垂体性小人症に対する臨床試験" 薬理と治療. 17. 465-486 (1989)
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[Publications] 衛藤 義勝,永津 俊治他編: "脳と遺伝子" 平凡社, 11 (1991)
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[Publications] 衛藤 義勝,中村 治雄編: "脂質の科学" 朝倉書店, 18 (1990)