1990 Fiscal Year Annual Research Report
不斉触媒としてのキラルなクラウンエ-テルの分子設計および不斉合成反応への応用
Project/Area Number |
02557085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古賀 憲司 東京大学, 薬学部, 教授 (10012600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 伸 東京大学, 薬学部, 助手 (00222472)
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Keywords | 不斉クラウンエ-テル / 触媒的不斉合成 / 不斉錯体 / エナンチオ面選択反応 |
Research Abstract |
金属エノラ-トは、有機化学反応において最も重要な反応活性種の一つである。その反応性や立体選択性を制をして効率よく炭素骨格を構築する手法の開発は、創薬を目指す者にとっての急務であろう。一方、クラウンエ-テルなどのヘテロ大環状化合物は、種々の陽イオンを内孔に捕捉することが既に知られており、金属カチオンおよびエノラ-トアニオンと非共有結合による三者錯体を形成すると考えられる。従って適当な不斉修飾を施されたクラウンエ-テルは、アキラルな金属エノラ-トの反応性とエナンチオ面選択性に多大な影響を及ぼし、しかも触媒的機能をもつことが期待できる。本研究は、不斉クラウンエ-テルの形成する不斉な錯体の構造と反応の立体制御との関係を明らかにし、一般的な触媒的不斉合成を開発することを目的としている。我々は、触媒量のtーBuOKと不斉クラウンエ-テル1__ーの錯体がアリ-ル酢酸エステル2__ーからα、βー不飽和カルボニル化合物3__ーへのマイケル付加反応を収率良く進行させ、特にR_1=OCH_3、R_2=OCH_3の時、81%e.e.(S体)という高い不斉収率で付加体4__ーを与えることを見出した。簡単な構造の1__ーが、不斉誘起が比較的困難であると思われてきた鎖状基質エノラ-トのエナンチオ面を選択することは、我々が独自に見出した驚くべき事実である。 この不斉誘起のメカニズムを解明する上でまず必要なことは、カリウムイオンと錯体を形成したときのクラウンエ-テルのコンフォメ-ションを知ることである。我々がクラウンエ-テル1__ーーKSCN錯体の結晶を単離し、X線解析を行ったところ、1__ーのもつ2つのメチル基はアキシャル位に立っていることが分かった。このことが不斉誘起に関して重要な意味をもっていると考えられる。 現在、クラウンエ-テルの不斉誘起能力を他の不斉反応にも応用するべく、検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Aoki,S.Sasaki,and K.Koga.: "Simple Chiral Crown Ethers Complexed with Potassium tertーButoxide as Efficient Catalyst for Asymmetric Michael Additions." Tetrahedron Letters.30. 7229-7230 (1989)