1990 Fiscal Year Annual Research Report
微小蛋白質結晶の異常分散法によるX線構造解析法の開発
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02558011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 能雅 東京大学, 薬学部, 教授 (30150014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 慶幸 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (70151131)
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Keywords | 異常分散法 / 微小結晶 / X線結晶構造解析 / 蛋白質結晶学 / イメ-ジングプレ-ト / 回折強度測定法 / シンクロトロン放射光 / 多波長異常分散法 |
Research Abstract |
研究初年度の平成2年度においては、輝尽性蛍光体イメ-ジングプレ-トを検出媒体とするカメラ一体型検出器を設計し、『X線カメラ露光リアルタイム検出装置』として製作した。これに『計測制御用コンピュ-タシステム』を接続し、イメ-ジングプレ-トの回転ドラムへの脱着と交換の機構、蛍光の集光検出部等のテストを終え、総合的な装置の調整、評価および必要な改良等を行っている。 単色X線による蛋白質結晶の回折パタ-ンを、高エネルギ-物理学研究所放射光実験施設の水平型四軸X線回折装置ビ-ムラインを用いて得、回折パタ-ンの計算機シュミレ-ションプログラムと回折強度算出プログラムを開発した。このプログラムの作製、整備と評価は大いに進展し、トリプシンー医薬品阻害剤の複合体、リボヌクレア-ゼU2、ダンシルリジン結合免疫グロブリンFvの微小結晶について測定処理を行い、デ-タのクオリティ-を示すR_<Imerge>が1〜4%台という良好な結果を得た。特に、分解能が2.5Åまでのデ-タではR_<Imerge>が2%以下となり、極めて精密な回折X線強度の測定が可能であることを示し、これら予備的な成果を、日本薬学会年会、日本結晶学会年会で3件、および仏国での国際結晶学会議で3件を発表した。 また、単色X線を用いる多波長異常分散法の解析処理プログラムを作製してアミラ-ゼインヒビタ-の結晶について適用し、原子散乱因子の異常分散項の適切な見積もり法を併用してその原子位置を決定した。平成3年度に計画している異常分散元素を含む蛋白質結晶の探索を、蛍光X線量を検出するX線吸収スペクトル法により予備的に行ない、蛍光X線の検出感度が高く極めて有望な手法であることを定量的に知ることができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 佐藤 能雅 Yoshinori Satow: "Optimized Anomalous Dispersion Studies." Acta Crystallographica. A46. C-15 (1990)
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[Publications] 雨宮 慶幸 Yoshiyuki Amemiya: "Imaging Plates as XーRay Detectors." Acta Crystallographica. A46. C-7 (1990)
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[Publications] 佐藤 能雅: "X線構造解析による生体高分子の立体構造研究" 現代化学. (1991)
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[Publications] Janet L.Smith: "Multiwavelength Anomalous Diffraction Experipents on Glutamate PRPP Amidotransferase." Acta Crystallographica. A46. C-17 (1990)
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[Publications] Wei Yang: "Structure of Ribonuclease H Phased at 2A^^° Resolution by MAD Analysis of the Selenomethiony L protein." Science. 249. 1398-1405 (1990)