1992 Fiscal Year Annual Research Report
微小蛋白質結晶の異常分散法によるX線構造解析法の開発
Project/Area Number |
02558011
|
Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
佐藤 能雅 東京大学, 薬学部, 教授 (30150014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 修治 東京大学, 薬学部, 助手 (60237823)
中迫 雅由 東京大学, 薬学部, 助手 (30227764)
雨宮 慶幸 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (70151131)
|
Keywords | 異常分散法 / 微小結晶 / X線結晶構造解析法 / 蛋白質結晶学 / イメージングプレート / 回折強度測定法 / シンクロトロン放射光 / 免疫グロブリン |
Research Abstract |
本研究で開発した『X線カメラ露光リアルタイム検出装置』を用い、単色化したシンクロトロン放射光による多波長の回折データを微小な蛋白質結晶について測定した。ダンシルリジンに結合するマウス抗体のFvフラグメントについて、多波長異常分散法用の回折データ処理と異常分散項の算出処理プログラムを用いて解析を進めた。その結果、異常分散パターソン合成により相補性決定部位のメチオニンに結合した白金のサイトを得ることができた。その後、分子置換法とモデル精密化法を併用してこのFvフラグメントの結晶構造を1.6A^^゚分解能という抗体では最も高い精度で解析を完了することができた。白色X線による異常分散効果の測定系と処理系も新たに開発したが単色X線データに比してデータの精度が十分ではなかった。今後の時分割実験による動的構造研究を展開する上でも、ラウエ回折法での精度の向上が重要な課題であることが判明した。 マウス抗ニトロフェノール(NP)抗体3B44のFavフラグメンの微小結晶について、開発した検出装置を用いることにより3A^^゚分解能の回折データを得ることができた。このものの臭素化NPとの復合体の多波長データでは臭素化NPの結合が十分でなかったため分子置換法を適用し、3A^^゚分解能で構造解析に成功した。また、抗体NIG9のFabでも結晶が微小で従来法では回折データが得られなかったが、開発した測定処理系によって2.5A^^゚分解能の良好なデータを得た。さらに、リボヌクレアーゼU_2も1.8A^^゚分解能での解析を完了した。このものの異常分散差フーリエ合成ではイオウ原子のみを明瞭に電子密度として見いだすことができた。 本研究では微小な結晶としてしか得られない3種の蛋白質の構造を解析することができた。本研究の成果をもとに、FOYトリプシンなどリガンドが結合した微小結晶3種の解析も順調に展開させることができた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 佐藤 能雅: "シンクロトロン放射光と蛋白質結晶解析" 蛋白質核酸酵素. 37. 567-579 (1992)
-
[Publications] Longyin Chen: "Crystal Structure of an Electron-Transfer Complex between Methylamine Dehydrogenase and Amicyanin." Biochemistry. 31. 4959-4964 (1992)
-
[Publications] Yoshinori Satow: "Optimized Anomalous Dispersion Studies." Acta Crystallographica. A46. C・15 (1990)
-
[Publications] Wei Yang: "Structure of Ribonuclease H Phased at 2A^^。 Resolution by MAD Analysis of Selenomethionyl protein." Science. 249. 1398-1405 (1990)
-
[Publications] Yasuo Takeuchi: "Molecular recognition at the active site of subtilisin BPN':Crystallographic studies using genetically engineered Proteinaceous inhibitor SSI(Streptomyces Subtilisin inhibitor)." Protein Engineering. 4. 501-508 (1991)
-
[Publications] Shuji Noguchi: "Crystal Structure of Purine-specific Ribonuclease U_2 at 1.8^^。 Resolution."