1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02559011
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下村 義治 広島大学, 工学部, 教授 (40033831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 善博 日本電子株式会社, 電子工学機器技術本部, 課長
向田 一郎 広島大学, 工学部, 助手 (70209980)
福島 博 広島大学, 工学部, 助手 (70156769)
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Keywords | イオン照射損傷 / 照射系 / 電子顕微鏡 / ガン・ダメ-ジ / 中性子照射損傷 / 照射損傷 / 変位カスケ-ド損傷 |
Research Abstract |
電子顕微鏡の電子銃部に発生する負イオンは加速されて集束レンズ部及びシボリ部を通過して試料室の電子顕微鏡金属試料にほぼ一様なイオン束として降り注ぐ。これらのイオンにより変位カスケ-ド損傷が試料中に形成して、イオン・中性子照射損傷による変位カスケ-ド損傷研究の大きな妨げとなる事を本研究者等は見つけた。これらのイオンを除去する目的で平成2年度に二つの装置を試作した。第一は電子顕微鏡の電子銃下部に設置して電子線の経路を最大1mm程度平行シフトさす装置であり、質量の大きいイオンは電子線と同じように曲がらない性質を利用してイオンをブロック・アウトするものである。第二は試料室内にて、電子線をくの字型に曲げて その直線経路中心部にイオンのストッパ-板を挿入する方式によるものである。本年度はこれらの二つの装置を我々が広島大学・工学部に現有するJEM-2000ES型電子顕微鏡に設置しての性能テストを行った。第一の装置については、平行シフトは電子銃の構造上実施困難である事が判明した。そこで、電子銃のフイラメント及びグリッド部を平行シフトしてフイラメントより発生する電子線を見かけ上偏向コイル部にて曲げる方式を採用した。この方式によるガンより飛来するイオン・ブロックの効果は完全である事が明らかになった。即ち、ガン・ダメ-ジは完全に除去されたのみでなく電子顕微鏡観察中に試料表面に堆積するコンタミネ-ションの量が極度に減少する事が判明した。第二の方式でも結果は非常に良好であった。第一の方式と同様にガン・ダメ-ジの除去と試料表面に堆積するコンタミネ-ション量の極度の減少が明らかになった。本研究で開発した装置は今後の電子顕微鏡では常設される様になるであらう。ポ-ルピ-ス等の交換及び高分解能の達成などを考慮すると第一の電子銃での電子線経路の湾曲によるガン・イオンの除去方式が商品化した電子顕微鏡に常時備付けでは優れている。
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Research Products
(1 results)