1992 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡出土木材の超音波診断法による内部強度分布等の非破壊調査法の開発と保存への応用
Project/Area Number |
02559014
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
石垣 昭 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (30043467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末 信一朗 福井大学, 工学部, 助手 (90206376)
河越 幹男 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (90043489)
井口 高行 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (30043491)
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Keywords | 保存科学 / 木製文化財 / 出土木材の保存 / 超音波診断法 / PEG含浸法 / 出土木材内の物質移動 / 非破壊検査 / 出土木材内の微生物 |
Research Abstract |
1.遺跡出土木材内部の非破壊的調査法の開発 平成4年度ではPEG含浸処理中に異常収縮を起こしやすい出土材について、収縮が起こる分部の非破壊的事前診断法を研究した。超音波の吸収が不均一な部分の近傍で異常収縮が発生し易いことをキリの出土材で確かめこの材でポリアクリル酸セシウムの希薄溶液の浸透過程をX線法で解明し含浸物質の分子量や濃度による会合度が増加するほど不均一な浸透がおこり異常収縮の原因となること、40%以上の高濃度PEGで異常収縮が起こり易いことを解明した。また、アカガシの出土材を用い40%PEG中での収縮は含水率が400%から500%で収縮率が最も高いことを見いだした。 2.出土木材のPEG浸透過程、乾燥過程等の物質移動論的研究 平成4年度では自然乾燥による出土木材の保存処理、およびPEG含浸処理後の長期保存に関する基礎的知見を得るため、トチノキの出土材の乾燥速度と変形を測定し理論的解析を行った。 3.出土木材内部に生息する微生物の研究 平成2年度および3年度において針葉樹(スギ)と広葉樹(トチノキ)の出土材の内部より分離した数十種類の微生物について平成4年度では各微生物の特性を研究した。この2種の出土材は長期間同一の水槽内に浸漬し保管されていたものであるにも拘らず、生息している微生物の種類に差が認められスギにはグラム陰性菌が圧倒的に多く見られるのに対し、トチノキにはグラム陰性菌、陽性菌、球菌および桿菌がほぼ同数生息することを見いだした。これらの微生物はセルロースおよびPEGを資化するが含浸過程でのPEGへの影響は少ない。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 河越 幹男,石垣 昭: "遺跡出土木材へのPEG含浸速度に及ぼす樹種,PEG濃度及び温度の影響" 考古学と自然科学(日本文化財科学会誌1991). 23号. 1-11 (1991)
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[Publications] 河越 幹男,石垣 昭: "遺跡出土木材へのPEG含浸速度に及ぼす木目の影響" 考古学と自然科学(日本文化財科学会誌1991). 24号. 69-75 (1991)
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[Publications] 石垣 昭,河越 幹男: "出土木材の浸透過程に及ぼす重合物質の分子量の影響" 考古学と自然科学(日本文化財科学会誌1992). 25号. 1-12 (1992)
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[Publications] 河越 幹男,百村 敬一,石垣 昭: "遺跡出土木材の乾燥と変形" 考古学と自然科学(日本文化財科学会誌1993). 26号. (1993)
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[Publications] 石垣 昭,井口 高行: "遺跡出土木材の超音波診断法による非破壊的研究(IV)" 奈良工業高等専門学校研究紀要. 26号. 89-93 (1991)
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[Publications] 石垣 昭,井口 高行: "遺跡出土木材の超音波診断法による非破壊的研究(V)" 奈良工業高等専門学校研究紀要. 27号. 91-96 (1992)
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[Publications] 末 信一朗,石垣 昭: "遺跡出土木材中の微生物の分離,検索" 奈良工業高等専門学校研究紀要. 27号. 113-116 (1992)
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[Publications] 石垣 昭: "遺跡出土木材の超音波診断法による非破壊的研究(VI)" 奈良工業高等専門学校研究紀要. 28号. 71-74 (1993)