1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02610004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
真方 忠道 神戸大学, 文学部, 教授 (20006555)
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Keywords | パルメニデス / プリトン / ギリシア人の霊魂観 / 人格の同一性 / エレウシスの宗教 / オルフェウス教 / 輪廻転生 / 契約 |
Research Abstract |
1、パルメニテスの提出した「存在」概念の基本となる同一性,持続性,永遠性,不生不減性の起源を考察した結果,エレウシスの宗教やオルフェウス教などにおける霊魂観と通底する所があることが浮かびあがってきた。今年度は特にエレウシスの宗教やオルフェウス教などにおける霊魂観の資料を蒐集し、ギリシア人の霊魂観の変遷を探った。ホメ-ロスでは例外的とされる輪廻転生,死後の霊魂の却罰の思想の起源が個人の魂の永生、更に人格の同一性の問題と密接に結合してくる過程を跡づけるよう試みた。 2、パルメニデスの「存在」概念にイオニア脈の伝統とされる質料的側面がとり入れられているか否か,を考察する為,蒐集した資料を目下整理している。パルメニデスは質料の何であるか(例えばタレスの水,アナクシマンドロスの無限,アナクシメネスの空気,ヘラクレイトスの火)よりは,質料の同一性を主張する根拠を語ろうとしているとしうのが,現在到達した見通しである。 3、プラトンの初期対話篇に浮かびあがってくる人格の同一性の主張の根拠の議論と、パルメニデスの「存在」の諸属性導出の議論との関連を明らにすることに努めた。『クリトン』に於けるソクラテスの議論ー約束、契約を結ぶ場合,当事者が,未来に起りうる条件や状況の変化を前提とせず完全にそれらを度外視して自己の全人格を賭ける場面であることを示す議論に,パルメニデスの「存在」概念の継承発展を見出し得ると考えている。
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Research Products
(2 results)