1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02610004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
眞方 忠道 神戸大学, 文学部, 教授 (20006555)
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Keywords | Parmenides'Tlepi φuaews / polymathie phroneein / thymosipsychoとarche / Plat's Eros / G.E.L.Owen / monismとpluralism |
Research Abstract |
1.パルメニデスの「序歌」の背景,意味,意図について,これまでの学者達の諸説を比較検討した。その結果,夜の世界から光の世界への道行きは,ヘラクレイトスの非難する多識(polymathie)から,同じくヘラクレイトスの求める真の知(phroneein)への飛躍を寓喩的に描写するものであるとの結論に達した。なお,この寓喩はプラトンの『饗宴』『パイドロス』の「エロ-ス論」、『パイドロス』の「魂=二頭立ての馬車」の比喩に継承されているとの仮説を得た。 2.女神がパルメニデスに啓示したとされる探求の道の「有り,而して有らぬことあたわわず」(fr.2,3)の主語,及びbe動詞の用法の問題につけて諸説を分析し,パルメニデスの思惟の中で直観的に把捉された,自己も含めたこの世界の森羅万象を成立させている原因根拠が,「それ」としか表現できない形で主語に据えられていること,及び「有り」は存在用法と解すべきであるとの結論を得た。 3.2での「原因根拠」はイオニア派がアルケ-,ホメ-ロスがthymos,オルペウス教・ピタゴラス派がpsycheの語で指示しようとした所を,パルトニデスが綜観的に,自然も人間も一切が支配されている原理として把え直したものである。その経緯を明かにする資料を整理した。 4.「真理の道」の論理の運びとプラトン『パイドン』の「第二の航海」(deuteros plus)との比較対照を試みた。 5.「ドクサの道」についてパルメニデスが何らかの真理を認めているか否かをめぐる諸学者の議論を検討し,GEL.Dioen説ーー「真理の道」に対立するphiralismを想定しうる限り精密に立ててその妥当性を吟味するディアレクティケ-の役割を果すとする説ーが最も穏当であるとの見通しを得た。
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Research Products
(2 results)