1992 Fiscal Year Annual Research Report
新生児・乳児における随意・不随意眼球運動の発達と図地の知覚的分凝の研究
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02610037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下條 信輔 東京大学, 教養学部, 助教授 (70183837)
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Keywords | 新生児 / 乳児 / 視力 / 両眼立体視 / 空間視 / 図地分化 / 視覚的注意 / 運動視 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は概要以下の通りである。 (1)新生児・乳児における視力・ハイパー視力・両眼視・空間視機能についての研究を概観し、単眼視・両眼視の発達を末梢・中枢神経系の成熟と関連づけて検討した。その上で、図ー地の反転に伴って運動方向も逆転する視覚ディスプレイを用いて、乳幼児の注意機能・図地分化の機能に接近する非侵襲的な心理物理学的パラダイムを提案し、予備的とはいえ、5-8カ月児において肯定的な結果を得た(文献1参照)。 (2)乳児における両眼立体視の成立機序について、入力眼に選択的な皮質表現の成立を前提とするという仮説をたて、1ー10カ月児の心理物理実験によってこれを支持する結果を得た。さらにこの成果を、最新の成人両眼立体視の研究と比較し、それらを統合的に理解する、両眼視機能の新しい見方を提案した(文献2参照)。 (3)約1歳齢における、乳児と養育者の間のいわゆる「ジョイント注意」(養育者の視線の動きなどを手がかりにして、対象に注意を向ける)や「社会的レファランス」(未知の対象についての情報を求めて、養育者の方へ振り返る)の現象について、実験的検討を継続中である。これまでの結果から、養育者の意図にかかわらず、その音声や身振りなどが乳児にとって「協調注意」の手がかりとなっていることが示された。 (4)健常成人における視空間的注意の心理物理実験によって、刺激依存性あるいは自発的注意による視野内に情報処理効率の勾配が生じ、それによってある種の運動錯視が生じることを見出した(文献3参照)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hikosaka,O.,Miyauchi,S.& Shimojo,S.: "Voluntary and stimulus-induced attention detected as motion sensation." Perception.
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[Publications] Hikosaka,O.,Miyauchi,S.& Shimojo,S.: "Focal Visual attention produces temporal order and motion sensation." Vision Research.
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[Publications] O.Hikosaka,S.Yamagishi and S.Ebashi(eds.) S.Shimojo: "Behavioral assessment of visual functions in infants." Biomrdical Research Foundation, (1992)
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[Publications] S.Shimojo: "Development of interocular vision in infants." Oxford University Press, (1993)