1990 Fiscal Year Annual Research Report
施設内障害老人の心身の活性化のための動作法適用の試み
Project/Area Number |
02610058
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
針塚 進 九州大学, 教育学部・附属障害児臨床センター, 助教授 (50113973)
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Keywords | 施設内老人 / 障害老人 / 動作法 |
Research Abstract |
1.施設(特別養護老人ホ-ム)に在所する85名の老人について日常生活及び動作現況の調査を行ったところ、食事、入浴、排泄について職員による何らかの介助を要する者が100%であった。そのうち、歩行等の動作面では顕著な不自由はないものの痴呆等による問題行動があり行動面での介助を必要とする者は、5%であった。残りの95%は、下肢、上肢のいずれか、または上下肢両方に動作の不自由が認められた。動作不自由がある者のうち25%が食事をベッドでするようなまったくの寝たきりの状態であった。このような寝たきりの老人の8割は、痴呆化がすすんでいた。このような老人は、適切な言語的コミュニケ-ションを持つことに困難があった。食事時間には、介助に依って車椅子で食堂に行き、自分で食事をすることが出来るもののそれ以外はほとんどベッドで寝ている下肢に重い障害のある老人は、動作不自由を持つ者の約40%であった。これらの老人は発語に不自由が認められる者もいるが必ずしも痴呆化している訳ではない。しかし、在所年数が3年を越えると痴呆化が著しくなる。このことは、ホスピタリゼイションの問題としても考えられ得る。施設内老人の対人的関係をみると、約2割の者が相互に交流しているだけである。それ以外の者は、食事、入浴、排泄等の介護を受けるときのみ職員との会話だけが中心となることが多い。面会は、毎日:0%、1週1〜2回:5%、2週1回:約10%、3週1回:約5%、1カ月1回:約25%であった。半分以上の者は、1カ月に1回の面接もないようなこともある。 2.以上のような施設内老人の状況から、動作法による動作への働きかけにより、動作の改善とコミュニケ-ションの改善を計るため5ー10名の老人を抽出して、動作法の適用を始めた。その経過及び適用方法、効果等の検討は次年度となる。
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