1990 Fiscal Year Annual Research Report
危機事態における大集団避難と集団内葛藤に関する実験的研究
Project/Area Number |
02610060
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
釘原 直樹 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60153269)
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Keywords | 避難行動 / 迷路脱出 / 避難モデル / 災害 / パニック / 集団 / 緊急事態 |
Research Abstract |
左図は実験に用いた3次元立体迷路を上空から見た鳥瞰図である。本年度は第1に、左図のような迷路内のT字分岐路における経路選択行動について検討するとともに、それを基礎にして迷路内の人の移動を数理モデルによって表現することを試みた。 各T字分岐路に対しては3方向からの接近が考えられる。即ち正面が壁になるような方向から接近する場合、袋小路の方から接近する場合、出口の方から逆行してくる場合等である。実験の結果、正面が壁の場合には左折と右折の割合がほぼ等しいことが明らかになった。また袋道路の方から接近した場合、直進する割合は全体の2/3でわき道に曲がり込む割合は1/3となり、直進する傾向が強いことが示された。一方、出口の方から逆行するかたちで接近する場合には直進する割合と、わき道に曲がり込む割合はそれぞれ約1/2となり、ほぼ等しいことが見いだされた。 以上の結果をもとに、時間経過に伴う迷路内の被験者の到達場所の変遷を表現するモデルを作成した。具体的には、上図の4箇所のT字分岐路と1辺で連結されている全ての9地点を通過する被験者の数の変化をマルコフ過程によって表すことを試みた。本モデルの場合、推移確率行列を分岐点における経済選択に関する実験結果を参考にして設定した。実験デ-タとモデルによる理論値はかなり一致し、迷路内の人の動きがモデルによって予測可能であることが明らかになった。 第2に、恐怖状況下(電気ショックが与えられることが予期される状況)及び無恐怖状況下において、曲がりくねった廊下を多数の人々(6名)が同時に避難する場合と単独で避難する場合について比較検討した。実験の結果、恐怖状況下の集団脱出条件では混雑発生や混雑発生時の方向転換数の増大により(このために方向を見失うことになる)出口に到達するための時間や距離が長くなった。しかし単独脱出条件では逆に、恐怖は脱出所要時間を短縮した。また恐怖が脱出行動に与える効果は迷路の形状に依存していることも示唆された。
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Research Products
(1 results)